初体験が小学生、16で妊娠・出産、中絶、援助交際の体験談… 近頃のテレビは、全く容赦ない。 BY-PRODUCT 「私ね」 そんな過激な内容に居心地が悪くなり、チャンネルを代えようと手を伸ばした時だった。彼女の声ははっきりと響いた。 「セックスは、愛の副産物だと思ってるんだ」 伸ばした手を引っ込める。 名前の横顔は電灯の明りで透けそうなほど、儚く見えた。 「きっと、この子たちは本当の恋をしたことがないんだね」 可哀相、と呟く彼女はテレビを見ている筈なのに、視線はもっと遠くを向いていた。 名前はたまにこんな話をしては俺を困らせた。嫌ではないが、議題が難問ばかりで答えに困る。 「確かに、」 性の低年齢化、所詮テレビの中の世界だと思っている自分がいた。 これ程に蔓延していたなんて思いもしなかったし、何よりそれを人前でひけらかすなんて、低俗だ。 「肌が触れ合うだけの愛は本当の愛じゃないね」 名前は頷いて、そっと俺の肩に頭を乗せた。 「裕太がそんな人で安心した」 目を閉じた名前の小さな額を撫でながら、だって、と思った。 だって、いま俺は君と本当の恋をしているのだから、知らない訳がないじゃないか、と。 ( 副産物か、いい喩えだ ) 撫でて乱れてしまった髪の毛を指で直しながら、そこに唇を触れた。 微笑む彼女が見えた気がした。 |