冷えた外気が二人を襲う。
鼻の頭が赤くなっている俺を見て笑った彼女の鼻も、赤かった。


ホット ウィンター


「名前、ジュース飲もうか」


自動販売機を見付け、それを指差した。彼女はぱっと表情を明るくし、小走りに自動販売機へ近寄った。


「くには何にする?」
「コーヒーかな、名前は?」
「私はねぇ、…これ」


ペットボトルのホットレモンを差して、微笑んだ。オレンジと黄のコントラストが綺麗なパッケージ。
小銭を押し込み、ホットレモンのボタンを押した。彼女にそれを取るように言い、それから自分のコーヒーを買った。


「温かいね」


ジュースを一口飲み、ふうっと真っ白な息を吐く。両手でペットボトルを包み込み、俺の顔を見上げる。


「ねぇ、くに、」
「うん?」
「…手、つなご?」


差し出された白い、小さい手の平。俺の手の中にすっぽり収まってしまうくらい、小さい缶コーヒーで温かくなった自分の手で、彼女のその手を握る。


「もっと温かくなったね」


ジュースを頬にくっつけて、名前は笑った。俺もそれを真似して、半分以上中身が減ってしまった缶を頬に寄せた。


「うん、温かい」
「今日はお鍋にしようか」
「そうだね、」


そうしよう、と頷くと、名前は手に力を込めて、俺を引っ張った。
コーヒーの熱よりも、彼女の手の平から伝わる体温のほうが、もっと温いと感じた。

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