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 ロスマリナス 16

調査兵団厩舎へと馬を返しに行く途中で本部を出るエルヴィンに会った
外出から戻った自分をあの日の様に振り返る


リヴァイ、最近よくウォール・シーナへ行っているようだな
…どこに行っているんだ?


───あの時こいつは間違いなく
あの家で立ち止まった俺を見ていたはずだが


…何でもない、
もう行くこともねぇよ


その返事を聞いてエルヴィンはじっとこちらを見つめるが
その瞳はいつものように何を考えているか分からない



そのまま奴は

そうか、

とだけ言ってその場を去っていった







その夜


食堂で時々の習慣になりつつあったハーブの葉を湯に浮かべていた

カップとソーサーが立てる音だけが響く


あのとき
自分が守ってやるとでも言えばよかったのか

…言えるはずもない


生活も住む場所もこんなに違うのだ
現実的ではない


あの女に感じるのはただの欲求なのか、
それともただあの容姿に惹かれているだけか
それさえも分からなかった




その時

おっ、また飲んでるね!

と、これも時々のお決まりとなっていたハンジが顔を出した


断りもなくいつものように残りのハーブティーを自分用のカップに注ぐと、今日も疲れた〜と言いながら向かいの椅子にどさりと腰かける


少なくなってきたハーブの葉を見ながらハンジが口を開いた


…新しいものはもらわないの?、と


その言葉に思わず眉を顰める


こいつにどこから入手したものかは言ってないはずだが…買わない、ではなくもらわないのか、だと?


何のことだ、とだけ返事をする


ハンジはカップを傾けながら、湯気で少し曇ったメガネ越しにこちらを覗き込んだ


女の子からもらったんじゃないの?

こんな種類のハーブをくれるなんて心配してるんじゃない
リヴァイのことが好きなのかな、と
少しだけ楽しそうに言った


それはねぇよ、と即答する


思い浮かぶのは一度も笑顔を自分に向けないあの無愛想な表情だ
初めからあの女の態度は明らかに突き放すようなものだった


嫌われることは今までも多々あった

日頃の行いを人伝に聞いては自分を避ける奴も多かった

初対面から進んで寄ってくるような女は今までもいたことは無いが、それでもあんな風に嫌われるような覚えはない



あの女に関しては何をしたわけでもないのに

増してや何度か助けてやったにも関わらず、だ



  


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