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 アリビンゲーブ 50

至近距離に彼を感じていると、許されないはずの欲が顔を出す。

この人の近くに、いたい。
もっと知りたい。
あれこれ聞くのは迷惑がられると分かっていても、もう限界かもしれない。

切なくて苦しい。
こんなにも近くにいるのに。
どうしよう。

私、この人が欲しくてたまらない。

胸がぎゅうと苦しくなる。
喉の奥が熱くなって、堪えきれない感情が溢れ出しそうだった。

…一度聞いてしまったら、
兵長は私を遠ざけてしまうかもしれないのに。

だけど。

胸が震える。
教えてほしい。

彼の行動の意味。
考えていること。
迷っている…こと。

口を微かに開くと、言葉が勝手に零れてしまった。

「…兵長。なに、考えているんですか…」

言った瞬間に後悔した。
蚊の鳴くような声だったが、それでも彼の耳には届いてしまったらしい。

はっと彼の眼の色が戻り、
瞳には映っていても見ていなかった私を見る。

その瞳には見覚えがあった。

苛立ちと…
……切なさ?


そんな表情が見えたかと思うと、
次の瞬間には目の前に彼が覆い被さっていた。

「…!?」

噛み付かれるようにキスをされ、体が彼の腕によって抱きすくめられた。
上半身は背中に回った両腕で固定され、寸分の身動きすら許されない。
私はまだ立体起動装置を装備しているのにそれすら彼の妨げにはならないようだ。


「う……んン…ッ」


な…に…?
苦し…い。


息をする事もままならず、無意識に空気を欲するがそれすらもぐっと押さえつけられ、叶わないまま口づけられる。

力強い腕に只々されるがままとなる。
今までの強引なキスなんて比べ物にならない。
今まで息苦しかったと思っていたのさえ、全て彼が優しくしてくれていたのだと気付いた。

苦しくするのは、私を嫌いになったから…?
これでもう最後だから…?

それならば、思い切り苦しく、きつく抱いていてほしい…。

「…は…ッ…」

息をしようとする度に先回りされ、それを阻まれる。

熱い唇。
熱い舌。

彼の舌が私を捕まえる度に頭に電気が走った。
荒い吐息が混じり合い、お互いの熱しか感じられない。

何度も何度も唇を愛撫され、息苦しさと兵長の香りで満たされて頭がくらくらと思考を止め、次いで体から力が抜けて行った。



  


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