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 フジ

今年もやってきたOktoberfestの季節。


一般兵士は特別外出を許されているので、皆年に一度のお祭り騒ぎを楽しむようだ。


私はというと、リヴァイの傍にいたいが為に居残り組になった。

だってリヴァイが仕事でいないのにお祭りだなんて、楽しくない。




そんな10月のある日、居残り班にビールが振舞われることになった。

早い話が、兵団公認の飲み会だ。


私自身あまりお酒は強くないが楽しい席は好きで。

その会には総勢30名程が参加して、賑やかな集まりとなった。



彼の席までは距離がある。



少し残念だけれど、階級別なのだから仕方がない。
この場は友人たちと楽しむことにした。



何杯めかのビールを味わい、頭がふわふわとしてきたところで突然後ろから腕を掴まれた。




「お前はもう飲むな。…部屋に送っていく」

「リヴァイ…?」




まだ大丈夫、と言おうとするが、腕を強く引かれてよろめく。



あ、あれ?



立ち上がると自分が思っている以上に酔いが回っているようだった。

多少顔が赤い友人たちに見守られながら、腕を引かれるままその場を後にする。



今日は話せないままだと思っていたから、とても嬉しい。



…でも彼は一言も発さない。



怒ってる、の?



自分の部屋の前まで来ると腕が解放された。




「リヴァイ
あの、なんか怒ってる…?」



「お前は無防備すぎる。酒を飲むなら量を考えろ」



量?

でも、まだ意識もしっかりしているのに。


不服そうな思いが顔に出ていたのか、リヴァイの腕が伸びてきて、強引にキスをされる。



「…ん…っ!?」


「…抵抗、してみろよ」



ぐっと押さえつけられて、声すらも出せない。

…というか素面でもそれは無理じゃない?



「隙を見せるんじゃねぇよ」


彼は少々乱暴に体を離すと、


「じゃあな」


と元来た道を戻ろうとしている。


あ、

「…待って…っ」


後ろから追いかけようとするが、躓いてそのまま彼の背中に抱き付く形になってしまった。



「オイ…っ」


「か、帰っちゃうの?」



素直に自分の気持ちを言っている自分にも驚いた。

お酒の力って恐ろしい。



「もう少し、一緒にいて…」



呆れたような彼の瞳は見えたが、どうにでもなれ、だ。

私だって寂しかったのだからこれくらいは許してほしい。


リヴァイが体ごと振り向き、私を抱きすくめるのでそのまま首に抱き付く。
彼の体温と香りに安心する。


そうしていると、すぐ近くにある彼の唇に目を奪われた。


……キス…


「…したいのか?」

「えっ!?」

「言ったじゃねぇか、キスって」



私、口に出してた…!?

かぁぁ、と赤くなるが、すぐに顔が近づく。


「ンっ…」


ああ、やっぱり、これが好き。


すぐに口を離そうとするリヴァイを捕まえて引き寄せる。


…もっと。


それに気づいた彼が、片手で私の腰を抱き寄せて更に深く口づけてくる。

柔らかい舌が私を捕まえるように動いて吸い付く。


「ん」


腰のあたりからぞくりと身震いする。

これだけのことがなんでこんなに気持ちいいんだろう?

……もっと、ほしい。


「…エマ…、してほしいのか?」



熱を含んだ目でそう聞かれ、頭が麻痺する。
見つめ返したまま、頷き返すことしか出来ない。


頷くが早いか、すぐに口を塞がれる。


いつもより熱い体と唇。
熱い舌にぬるりと触れて、その感覚が全身を支配する。



「…は…っ」



お酒で火照った体には、一つ一つが強いくらいに気持ちいい。

もしかしたら彼も酔っていて加減ができていないのかもしれない。



「…ここはまずいな。」



そう呟くと、私を腰から少し持ち上げて扉を開け、部屋の中へと滑り込む。


…あ、今まで廊下にいたのか…。


がっちゃん、と扉を閉め。
ベッドまで私を運ぶと、もう一度熱いほどの唇が降ってきた。


包みこむような情熱的な体温。

熱い吐息も、すべてが愛しい。


繰り返し与えられるキスに体が熱く反応する。
くちゅ、と唾液が混ざり合って、疼いてしまう。


この先を期待してしまいつつ彼を受け入れる。


そうして彼の唇に心酔していると、彼の手が腿を撫で上げ、性急な程に足の間に潜り込み下着の中まで入ってくる。


その指がぬるりと私自身に触れると私はさらに体を熱くして、彼は熱っぽく口端を上げた。



「…キスだけで、か。
そんなに好きか?」



この行為が?
…それとも、彼のことが?

どちらともとれるその質問にも答える余裕はない。
上下に動かされるその指だけで、私の全ては翻弄されていく。


すぐに下着ごと下半身の衣服を剥ぎ取られ、既に潤っている部分を指でなぞられる。


私から喘ぐような吐息が漏れ始めると、彼は指をそこから離して自分の履いていたズボンのベルトとボタンを外して私に乗りかかった。


私の両足を自分の腕で持ち上げるようにして、入口に当てた自分自身を推し進めようとする。



「…っ、待って、まだ中は…」

「大丈夫だ…黙ってろ」


「…だめ……っ!」



ぐっ、と強く彼が当てられたかと思うと多少強めに内部まで入り込んだ。

じりっと一瞬痛いかと思ったが、それはすぐに消し飛び、甘い感覚だけが襲ってきた。


ずる、と奥まで彼を受け入れると、それだけでお腹の下と胸がキュンとする。



「どうだ…痛いか…?」



優しく見下ろされて更に心臓が跳ねた。
こういう時の彼はいつもとどこか違う。


全てが…艶っぽい。


「ううん…もっと…して…。
気持ちいい…っ」



息も絶え絶えになりながらそう零す私を見下ろしながら、リヴァイが一瞬、固まる。

頭がふわりとしていてあまり深く物事を考えられない。


私、変なこと言ってる…?


「…酒の力は恐ろしいな」


そう呟いて目を細めるリヴァイは、もう一度私に熱いキスを落とした。

間髪入れずに彼は私の両足を抱き直し、深いところで繋がるように時にはゆっくりと、時には激しく抱いていく。



「あっ…あぁ…っだ、め…また…!」


「…もっと、いけるだろ…」


「ぁ……っ!!」



何度もびくりと体が弓なりに反り、足の先まで力が入ったとしても、もうリヴァイが私を離すことは無かった。


「…まだ落ちるなよ」


幾度となく角度を変え、体位を変えながら奥の奥まで突かれた私は、いつものように力強い腕の中で朦朧としていった。










翌朝目を覚ますと、リヴァイはもう既に身支度を整えていた。


物凄い目つきで睨まれている。
こんなに凄まれるのは、初めてかも…。



ごくり、と生唾を飲み込む。



「オイ…エマ」

「…は、はい…」

「…今後、酒を飲むときは必ず俺がいるときだけにしろ」

「は…?」

「それ以外に飲んでみろ、削いでやる」

「はい…。???」



リヴァイはそれだけ言うと椅子に掛けてあったジャケットを掴み、扉を乱暴に開けて出て行ってしまった。


…?

やっぱり私、何か変な事言ったみたい…。


よく分からないけれどとりあえず、お酒は当分控えようと心に決めたエマだった。








カツカツと足速に廊下を進みながら、リヴァイは昨夜のことを思い出していた。



「…恐ろしい、が。
ああして素直なのも悪くない…。」



次は部屋で軽く飲ませてみるか。









フジ
おわり



      


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