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 スチータスII 01

「あれ…リヴァイは?」

「兵士長は、昼食の後から休憩を取るそうです」

「ふぅん…」

その返事を聞いてハンジは呆れた様に小さく笑った。

また、あそこだろうな…。

調査兵団宿舎南棟。

以前までは兵員の部屋として使われていたが、近ごろは人員不足が続いている為に誰も住んでいない。

滅多に人が踏み入らないので掃除もされていなかったが、つい一週間ほど前に最奥の部屋にだけ清掃の手が入った。

調査兵団の帰還に間に合う様にと準備されたその部屋には、一人の兵士が入室したが、名前も怪我の有無さえもあまり公にはされていない。

隊長以上の兵員にのみ報告がなされたが、リヴァイ兵士長の手が回っていると聞いて皆納得した。

今でこそ彼の立場は揺るぎないが、入団した当初は彼の取立てに反対する兵もいた。
だが、彼の戦闘センスと均整の取れた言動を見せられては閉口せざるを得なかった。

異例の兵士長抜擢。
兵士長という肩書も今までの調査兵団では聞きなれないものだったが、いつからか彼一人で一個旅団並みの戦力があると噂されるほどになった。
面と向かってそんな彼に非難を浴びせる者もいないということだ。

彼の出世の話題に隠れて、彼と恋仲ではないかと噂される女兵士の影があった。

その兵士の名前までは知らないまでも、兵長が密かに手厚く待遇している兵士がいるという話は調査兵団の誰もが耳にしたことがあるだろう。


今回の処置で決定打というわけだ。


これでは今まで内密にしていた意味がないじゃないか、とその話を聞いたハンジは堪え切れずに笑ってしまった。

彼女の怪我は命にこそ別状は無いものの、当分の間は安静が必要だ。
南棟ならば野次馬が紛れ込む心配もないだろう。

無愛想な奴がそばにいたら治るものも治らないような気がするが…。

「あれじゃあお姫様も大変だねぇ」

ハンジは溜まった報告書類を卓上に投げ出し、手を頭の後ろに組んで伸びをする。


ただ、そんな周りが見えなくなる彼も初めてなのでこのまま傍観していたい気分だが…
何度か図らずも邪魔をしているのでそろそろ本気で殴られそうな気もする。

…後でこっそり見に行くとしよう。



    


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