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 ブバルディア 06

前の合わせが開いたままの自身のシャツに、遠慮がちに捕まるその手のひらに徐々に力が入って行く。

手や指だけではなく、腿も膝も、与えられる初めての快感の頂点を探すように身体中が小さく痙攣しながら張り詰めていくようだった。


柔らかな身体を抱き寄せていると、その変化が手に取るように分かった。

こいつだって兵士のはずなんだが、この細い体で剣を振れるのかと単純に疑問に思う。
腕も腰も、体重を掛けるのが憚られるほど柔らかく骨格自体が細い。
皮膚一枚下で少し早めに血液が脈打っているのを感じる。


やはり初めから兵士の選択肢を奪っていればよかったのか。
だが、そうしていたら今こうしてこの腕に抱くこともなかったかもしれない。

帰ってくれば、と思っていた。

俺の元に帰ってくることがあれば、とあくまでエマの選択に委ねようとしていた自分がいた。

丸々一年、その姿も声も見えないところで。

手を伸ばせば捕める距離にいたものが急になくなるのは、例えそれが小さなものでも気分のいいものじゃない。

ただの小さなものだったのか、そうじゃないのか。
まだ十代のガキにここまで執着しているとは自分でさえ気付いていなかった。

エルヴィンが何度も俺に憲兵にいるエマの話題を振ってきたことを思えば、あいつは早々に何か感づいていたのかもしれない。
聞いていない振りをしながらしっかりと元気なことを確認しては安堵していた。

あんなに懐いてくるガキも珍しかったが、あいつが会いに来ないまま一年が過ぎていたことに気付いたときには内心少し動揺した。

もう二度と俺の元へ帰ってこないのではないかと。





触れるたびにその身体がゆるゆると昇りつめるのが分かる。

シーツを強く握り締める細い指を、リヴァイは自分に捕まるように促して引き寄せた。


喘ぐように大きく息を吸い、それでも本能のままリヴァイにそうされるがままエマの身体は貪欲に刺激を呑み込んでいく。


腰の辺りから滑らかな肌に汗が浮かんで瞳は戸惑いと快楽の間で切なげに細められる。
化粧をしなくても赤く潤む唇からは絶え間なく甘い吐息が漏れて、その甘さを味わい飲み込むようにリヴァイは繰り返しその唇に口付けた。


酒なんかより此方の方が充分酔えそうだと頭の隅で思う。




…甘い。

肌の匂いも、髪の匂いも、その感触さえも。


時折強張る体も、自分でさえ触ったことのないような躊躇いがちの反応も、間違いなく何もかもが初めてだと伝えてくるのは分かっていた。

エマの体から溢れる甘い蜜がそうさせる。
そんなつもりは無かったのについつい奥の方まで試したくなってしまう。

力が入ったままの両脚が、痙攣するように時折強張っていく。

こんなに力を入れたままだと後から痛くなるはずだと、困らせるのも分かっている。
意思に反して肌を味わう指をそれでも止められる気がしなかった。


奥の方は慣らしてからだと思う自分と、溢れる水の中に沈み込む指が自分自身だったらと無性に喉が乾くような思いが交差する。

これだ、とリヴァイはいつかの答えを見つけた気がした。

エマを慈しみたい想いが、それ以上に征服したいという欲に呑み込まれていく。

それは決まってこの柔らかい体温に触れた時なのだ。
湧き上がる感情と猛る自身の狭間でどちらを優先させるべきか。

泪を薄く浮かべ、一筋顔に掛かった乱れた髪が荒い呼吸に合わせて揺れる。

そのもはや少女とは呼べない煽情的な表情に、腰の辺りからぞくりと何かが這い上がった。
もう抑えなくていいのだ、と改めて実感する。


そうさせるのは自分なのか、彼女自身なのか。
沈み込む指先で熟れる実を昂めるように撫でると唇からは悲鳴に似た喘ぎが溢れて、一際大きくその身体が波打った。


「…あ、リ…ヴァイ……っ……!」


登りつめる一歩手前、エマの腕が縋るように、探すようにリヴァイの首をかき抱く。


自分の与える刺激で、ここまで余裕のないくらいしがみ付かれることが愛しいと感じる自分は歪んでいるのだろうか。

片手を身体の中に沈めながら、もう片方の手で汗ばむ背中を自分の肌に付けるように抱き締める。

痛くするのも快楽に導くのも自分でなければいけない。
いつでも自分の存在で泣いているのだと思うと堪らない思いだった。






リヴァイの体の下で柔らかな身体はひくりと反った後、急激な刺激に息を詰まらせてから、はぁ、とたっぷりとした吐息をはいた。


まだ少し焦点の合わない瞳はゆっくりと目線を持ち上げて、リヴァイはその乱れた髪を整え耳に掛けてやる。



「どうだ、辛いか……?」



力を振り絞量は溶け出したんじゃないかと思うくらいぼんやりとした頭で、視線を彼に向ける。


辛い……?

辛いかと聞かれたら確かに辛い。

こんなに頭まで痺れるくらいの快感、今まで感じたことなんかない。
指の先まで力が入らないくらいまだぴりぴりとした余韻が身体中に残っている。

は、と浅く呼吸を繰り返した。

鈍くなった感覚の中、それなのにリヴァイがもう一度指を動かすと途端に身体中の細胞がもう一度ざわめいた。


「ぁ…っ…、あっ、や…ぁっ…!」


痛いような、強いような刺激。
でもやっぱりその奥で、目眩がする程の快感があるのが分かる。

びく、と大袈裟な程に背中が仰け反った。


おかしい。

私の身体、どこかおかしくなったみたい。


それをしっかりと見下ろしてからリヴァイがぽつりと呟く。


「良さそうだな………だが、まだだ」




  


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