×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


 ブバルディア 05

ぐい、と頭を抱え込まれて、唇が重なる。


「……っ」


無意識に強張っていた自分の身体が、指の先まで彼の体温で満たされていくのを感じた。


私のものとは違う、厚くて少し骨張った手が身体を余すところなく暴いていく。
その優しい手の感触を感じながら、自分もそうだけどリヴァイも大概だな、と荒い呼吸の下思った。


言葉は荒っぽいのに触れてくる指先は優しくて。

嫌がっても止めない、なんて怖がらせようとするくせに無理矢理嫌なことなんてしてこない。
本当は色んな事分かってるくせに知らないふりをしたりするし、思った事を言う割には口下手で。
本当は優しいのに、周りにはそれが伝わらなくていいと思っている。

…リヴァイも、矛盾だらけだ。


リヴァイの熱が私に移ったのか、私の熱が移ったのか。
その指が肌に触れるたびに気持ちがふわりと舞い上がって、それからその場所がじわじわと火傷のように熱を持ち始める。


「……っん、……はぁ……」


舌と吐息を促されるように絡め合う内に、リヴァイの手が器用に抱き寄せながら既に大分肌蹴ていたシャツと下着を脱がせていった。


直接熱い手と指が胸に、胸の中心に、お腹に触れて。
足首から膝を通って、太腿の柔らかい部分をゆるゆると何度もその手が行き来する。

足首を掴まれて、腿のあたりまで唇を這わせるリヴァイからは今まで感じたことのない以上に物凄い色香を感じた。

こういうとき。
どうしたらいいんだろうって思ってたけど、分からなくてもいいんだ。
彼の手に引かれて抱き寄せられて、触りたいという気持ちのままその手に答えればいいだけなんだから。


溶けていく、と思った。
この熱い手が、私をもっと深い所へと誘っていく。


彼の唇が首のあたりに触れたと思ったら舌先がつつ、と上に向けて舐め上げて、反射的に背中がびくっと仰け反った。



耳元に口付けられながら彼の手が抵抗する間もないままラフなズボンにも滑り込んで、それも肌から脱がされていく。

お互いの体温が熱いくらいになったとき、リヴァイも着ていたシャツの合わせを解いた。

生身の肌同士が触れ合って、彼が私の体に乗り掛かるとぴたりとその全てが密着した。
抱き寄せて、引き寄せて、紐解いていく。


「ーーー!!」


その手がするりと下着の下に滑り込んだ時は思わず脚に力が入ってしまったけど、それに気付いたリヴァイが頬に優しく口付ける。


「……拒むな。痛くしねぇから」


いつにもなく優しい仕草と、鼓膜を揺らす掠れるような甘い声色に促されて、私はおずおずと膝から力を抜いた。

その先がどんなものかも想像できずに、初めからうるさかった心臓はこの時点でバクバクと壊れそうだった。

その綺麗な指先がするりと静かに脚の間に入り込んで、粘度のある水の上を柔らかく滑る。


「…あ、リヴァ…イ…っ、いや…ぁ」


宥め賺せるように額や頬にリヴァイが唇を寄せて、その度に指先が脚の間で動いてどうにかなってしまいそうだった。


「……ッ!?」


不意に、その指先が水の上を撫でてから柔らかい一点に触れる。

びり、とした刺激に大袈裟な程に身体がびくりと反応した。


「……ァ……っ」


じわじわとした刺激とは違って、直接的で強いくらいの快感に息が止まる。
外側の小さなその場所でリヴァイの指先が小さく動くだけで、身体中の細胞がざわめくのが分かった。

腰から、背中から快感に汗がにじむ。
経験したことがないのに、このまま行くと意識が無くなるんじゃないかと思った。

「…あ、ぁ……っ」

呼吸が追いつかない。

身体の変化が痛いくらい分かって、でもそれを受け入れたらどうなるのかも怖くてそれを拒むようにシーツを掴んだ。


「は、ぁ…っい、や、リヴァイ、やだ……ッ」


苦しい息の中、不意に間近から見下ろす彼の瞳を感じた。
指先からの強いくらいの刺激に涙が滲む。
そんな私を見て、リヴァイは目を切なげに細めた。

漆黒の長い睫毛は蝋燭の淡い灯りに照らされてその整った肌に影を作る。
だけど私には彼のその瞳を見つめ返すのが精一杯で、気を抜けば意識ごとどこかへ行ってしまうんじゃないかと思った。

だから、彼の瞳がいつもの違って余裕なさげに揺れることには気付かずにいた。


「リヴァイ、リ……っ、リ、ヴァイ…!」


胸が苦しい。
訳がわからないくらいの感情に包まれる。
身体中が切なくて、堪らず求めるように彼に手を伸ばした。

「……エマ」

抱き寄せられるとその体温と香りに包まれて、胸の奥から愛しい感情が流れ出す。

だけど、その指先は休む間も無く刺激を与え続けて、それに対して私の体はどこまでも素直に反応する。
頭の芯が溶けて、白んでいくような。
この快感の行き先を私は知らない。

気が、遠くなる。


「リヴァ…イ、も、ぅ…やめて…し、死んじゃう…っ」


その指先に翻弄されたまま、彼の吐息が唇をくすぐる。
涙に滲んで彼の表情は分からない。
だけど、その手も指も、優しいまま。


「………死ぬかよ」


笑いを含んだような返事はいつもと同じようで、でも少し違うようにも聞こえて。

縋り付くようにその首に手を回すとぎゅう、ときつく抱きしめられた。

死なない?ほんと?
でも。


「でも、な……っ、なんか、体が変…変なの…っ」


息も絶え絶えになりながら、荒い呼吸の最中に言葉をやっと返す。

それを聞いて、リヴァイの唇がそのまま近づき軽く私のそれに重なった。


「……それで合ってる。」




「ぁ…っ!?」


外側を遊んでいた指先はそのままに、もう一つの指が今度は柔らかい水の中に沈んで行く。


中から外から感じたことのない刺激に戸惑って、でもリヴァイの体温が安心させるように体中を包み込む。


「逆らうな、そのままでいい。
…いいから、そのまま受け入れてみろ」



  


Main>>home