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 ナカロマ 37

「え…?あ、はい」

思いがけないタイミングで呼び止められ、躓きそうになりながらも振り返る。
訓練場の方から本部に向かって歩いていたらしいその男性兵士は、よかった、と呟いた。
背が高くがっしりとした体格の男性で、少し長めの茶髪の髪を後ろに撫でつけている。

年齢を見た目で判断するのはあまり得意ではないけれど、年はエルヴィンより少し下ぐらいだろうか。
…リヴァイよりは、少し上かな。
少し笑顔を見せてくれたけれど、気難しそうな印象を受けた。

「カリーナ班の副班長です、はじめまして。
きみに細かい話があって今から探しに行こうとしていたから、見つかってよかった」

あ、さっきカリーナ分隊長が話に行けと言っていた副班長か。
咄嗟に向き直って会釈をする。

「それじゃあ、どこか適当に座って説明をしようか。」

そう言われ思わずリヴァイの部屋をもう一度見上げていた。
どうしよう。
…やっと会えると思ったのに。

でも当日の注意点は聞いておかないといけないし、今はこちらを優先すべきだ。
副班長も忙しい中私に時間を割いてくれているわけだし、しっかりと兵士の務めを果たさなくては。

副班長の話が終わったら丁度夕食の時間あたりか、それ以上か。
その後彼の部屋を訪ねるのは遅すぎるかな…。

「は、い…。
お忙しいところすいません、よろしくお願いします!」

まだ。

まだ調査までは明日一日あるから。
明日、何が何でも会いに行こう。

ぎゅっと両手を握りしめて、本部に向かって歩き出した副班長の後ろを小走りで追いかけた。

−−−−−−−−−−

結局そのあとは副班長に細かい説明を聞いて、その話が終わるころに顔を出してくれた分隊長とももう一度確認をして。

終わった頃にはやはり夜も大分更けていた。
ちらりと見上げたリヴァイの部屋の明かりは既に消えていて、寝ているのか、部屋にいないのか。

寝ていてくれるといいな、と小さく思って、それから疲れて休息を取っている彼を想像して。
彼の部屋に無理やりでも行きたいと思った自分の気持ちに蓋をした。



  


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