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 ナカロマ 31

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バシュッ

−−−ところが、一旦他の兵士に交じって訓練を始めたエマを見て誰もが目を見張った。
つい先刻訓練を開始する調査兵達の前でぺこりと頭を下げ、見習いだと自己紹介した少女だ。
見習い枠で団長の親戚が入ったという話は誰もが聞いていたけれど、
ふんわりした印象の彼女に皆一様に毒気を抜かれたのだった。

小柄な体系も手伝って、正直なところ人並みに訓練に付いてこれれば上出来ではと思ったのが大多数だ。

それが、ここにいる兵士の誰よりも立体起動の使い方を熟知しているような動きを見せたのだ。
ガスの噴射も最小限に抑え、長距離移動の訓練も難なくやり遂げる。

身のこなしも軽くバランス感覚も申し分ない。
強いて言えば持久力がないことか。

その場を監督していた担当の班長や分隊長にも
ざわざわと話が伝わっていった。


『−−−ああ、ほら、例の団長の親戚とかいう』

『はぁ、前は憲兵団に。道理で…』

なんて声が行き交う。
そんな事になっているとは露知らず、エマ本人は一際大きな崖を飛び上がって兵団敷地全体を見渡していた。

少しウェーブした髪を風が撫でていく。

…リヴァイは、今どのへんかなぁ。
もうすぐで壁外へ行くのだから仕事が大詰めなのだろう。
会議も多いはずだ。
兵士長じゃなくて、ただの一兵士でいてくれたらもっと頻繁に会えるのにな、なんて馬鹿な考えまで浮かんでくるが、
すぐにその自己中心的な考えの自分を後悔する。

あ…また。
私は自分のことばっかり。

リヴァイは忙しい中でも私の我儘を聞いてくれているんだから、私だってもっと頑張らなくてはいけない。

…今回の調査への同行は絶望的だけど。



  


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