△ ナカロマ 19
リヴァイはエマを抱えたまま階段を一段一段降りていく。
二階まで降り、本部から宿舎へ繋がる通路を抜けると彼の自室までは目と鼻の先だ。
腕の中からは規則正しい寝息が聞こえる。
その小さくて暖かな体温をリヴァイは少しだけ強く抱きなおした。
部屋まで着くと、扉を開いてベッドまで彼女を運ぶ。
起きないとは分かっているが、あまり揺らさないようにその体を横たえるとその小さな口から声が漏れた。
「…ん」
静かに身体の下から両手を抜き、ジャケットの代わりに毛布を掛けてやる。
エマのジャケットも脱がそうかと思ったが、起きたときに文句を言われそうだったのでやめておいた。
この、小さな身体が巨人と戦うのはどうしても避けたい。
「言っても、どうせお前は聞かないだろうがな…」
思い通りにならないもどかしさ。
それでも、こいつに抱く感情は他の誰にも湧かないものだ。
リヴァイは身を乗り出し、以前より少し大人びた寝顔を見つめてから、
その閉じられた瞼にゆっくりと唇を寄せた。