破局未遂事件

「実はお前が嫌いだ、闇野。別れよう」
改は顔色を変えずに俺に向かってケロリと言い放った。
「だ・・・大事な用ってまさか・・・」
改に呼び出され、この人々で賑わうカフェにやってきた俺は僅かに声を震わせた。嫌な汗が出てくる。
「そうだ。別れ話を切り出すためだ」
と言って、改はちゅうちゅうとメロンソーダをすすっている。
「・・・え?待ってくれよ、改・・・!!」
思わず大きい声が上がり、周りの人の目が俺に向く。ああ、そうだったな、ここはカフェだったな。公共の場だな。
「改、待ってくれ!俺に悪いところがあったら直すし、せめて理由だけでも!」
「さっき言っただろ!!俺は、お前が嫌い。じゃあな!!」
「待ってくれ、改!改!!あらたああああ!!!!」


「・・・はっ!夢・・・だと?」
エアコンが切れて寝苦しくてこんな夢を見たのだろうか。なぜこんな夢を見てしまったのか・・・よく思い返してみよう。

俺は改が好きだ。間違いない。好きで好きで、こんな、改と付き合っているという夢を見たのかもしれない。だが・・・

「ぐわああああ!!!なんてことだ!!!」

そうだ、そうなのだ・・・俺は改が好きだが、まだ付き合ってはいない。告白もしていない。
闇の戦士である俺が、こんな浅ましい夢を見るなんて!!くそっ!忘れたいッ!「闇に呑まれろ!」などというが、俺が闇に呑まれてしまいたい!!
・・・すぎたことはどうしようもない。目覚めたら忘れていることを願って、大人しく寝よう。まぁ、絶対に無理だろうが。

「『改を別れる』という夢を見た」という夢を見た。そんな二段夢オチにはならないだろうか・・・はぁ・・・。







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2011.5.6
去年の夏に書いた。


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