何度でも巡り合えると信じて

「世界が終わるとすれば?」

改の問いかけに、バダップは一瞬驚いて目を見開き、続いて怪訝そうに眉をひそめた。
「何を言っているんだ改?」
「何となく聞いてみたいだけだ。お前だったら何をする?」
じぃっと改の灰色の瞳が上目使いでバダップの血のように真っ赤な目を見つめる。
「終わるのが避けられないのなら、終わってしまえばいい」
淡々とした答えはバダップらしいが、こんな子供じみた問いかけに対しての返答を持っていたのは意外だった。訊いたら訊いたで「くだらない」と一蹴されるかと改は思っていた。
「抗ったりしないのか?」
「その時の俺と状況次第によってはそうするだろう」
「死ぬのは怖くないのか?」
「軍人である以上それなりに覚悟はしている」
その理由を聞いて、改は少し納得した。ただ、命を失う覚悟をしていることへ一抹の寂しさはあった。
「それに、バカバカしいかもしれないが」
バダップが自分から「バカバカしい」というにはどれくらいバカバカしいのか。改は興味を持って顔を上げた。

「生まれ変わるという可能性を信じている」

バダップらしくない考えだった。
不確実なこと、オカルトは全く信じないバダップが、「生まれ変わり」などというそれこそ有りえもしないことを信じているとは。
「そんなことを信じるなんて、お前らしくないな」
「ひょっとしたら、あることがあり得るかもしれないじゃないか」
「何がだ?」
「生まれ変わったら、改と同じ時代を生きる人間になれるかもしれない」

改と異なる時代に生まれてしまったバダップは、心底そのことを後悔している。受け入れてはいるものの、やはりずっと改と一緒に居たい強く願っているのだ。
だから藁にもすがるような思いで、バダップは0%に等しい事象を信じている。

「バダップがそこまで言うなら、俺だって来世に賭けてみようじゃないか。俺だってバダップと一緒の時代を生きたいからさ」
「ありがとう、改」

バダップの大きな手が改の頭を優しく愛おしそうに撫でた。




―――――
2011.10.30
28日が地球滅亡だったらしいですが、滅亡しなかったね、おめでとう。

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