短編集 | ナノ


抑制


彼はとても意地悪です。



彼は、ニンジャさんはとてもとても意地悪です。



…と、言ってもほとんどの人はそれを知りません。
だって、彼が意地悪をするのは、わたしと二人きりの時だけ、ですから。






「ひゃぅっ!に、ニンジャさ……そこ…だめっ!」

「…駄目?嘘はいかんなァ…名の此処は物欲しそうにヒクヒクいうておるぞ?」

「やぁっ!!そ、こ…指、いれちゃ…ッ!!」


心の底から『嫌だ!』と思っているわけではありませんが、わたしの両目からは生理的な涙がぽろぽろと溢れて、シーツを部分的に変色させます。

だけど、どれだけ涙を流しても。
どれだけ懇願しても、ニンジャさんは行為を止めてくれません。ひょっとしたらわたし自身がこういうことを望んでいるのかもしれません。



こうやって、…淫らなことをしてもらうことを…。



「…全く…イヤらしい女だな、名は…。

まだ指を挿れただけなのに、こんなに悦びおって…。ん?」


にやりと口の端を吊り上げながら、ニンジャさんは先程よりも一層激しく指で攻めたてる。

彼の長くて綺麗な指が、わたしの大切なところをもてあそんでいるんだ。と。考えるだけで、じくじくと下半身がうずいてしまった。

それはしっかり彼にもわかったみたいで、悪魔超人ばりの笑顔をわたしに向けて、そして耳元で囁いた。




「…何かイヤらしい事を考えていたな…?
ほれ、またイヤらしい汁が溢れてきおったぞ?」

わざと指ですくいとって、わたしに見えるようにニンジャさんは指を掲げます。
彼の指先は透明で、粘りけのある液体がべったりとまとわりついていて、それをべろりと舐めとったのです。

「やはり思ったとおりイヤらしい味がするな…。この淫乱娘め…」

「そ、そんなこと…」

「ほう…まだ認めぬか」


少し呆れたようにニンジャさんは吐き捨てて、しゅるしゅると頭巾をほどき、そして袴も弛めた。

暫くして激しく反り返ったニンジャさん自身が姿を現し、情けないことに、わたしはうっとりとその光景を見つめてしまいました。
恥ずかしい限りです。

どうやらその一部始終を見られていたみたいで、ニンジャさんと視線がばっちりとあってしまいました。


「あ…ニンジャさ…」



「全く…そんなにコレが欲しいのか?ん?

そんな物欲しそうに見つめおって…。お前には羞恥心というものがないのか?」

普段とは違う、攻めたてるような口調の彼にドキドキしてしまうあたり、わたしにはMの気があるのでしょうか?
息絶え絶えに、ちがいます、と抵抗しても一蹴されてしまいました。


「嘘を言うな、淫乱め。
…鏡で己の面でも見てみるか?普段の清楚な面影などまるでない、雄の逸物をくわえたがっているただの雌犬のような姿をしておるぞ?」

低く、耳元で囁かれる。言われている内容もとても過激だけど、耳元からくる快感に…わたしのドキドキは止まりそうにありません。
彼の吐息に触れる度、あえぎ声を漏らしてしまって。もうおかしくなりそう。


もう、我慢なんて出来なくなりそう。



「そんなに俺の逸物が欲しいか?」


…嗚呼…彼の一人称が変わっています。心なしか、顔付きも変わっています。

まるで悪魔騎士の彼のよう。鋭い視線に、唇はにぃ、とつり上がって。


「は…ぃ…、欲しいです…」


言ってしまいました。とうとう言ってしまいました。
とてもとても恥ずかしくて、顔からは火が出そうです。
わたしの大事なところも羞恥心とリンクしているのか、さっきよりもとろとろしてきました。



「…名」




不意に名前を呼ばれました。そして優しく優しく、髪を撫でられて、口付けをしてもらいます。

と、同時に下半身に圧迫感が。熱いモノがわたしの中にはいって、きています。

それだけでわたしは達してしまい、意識が遠のきそうになりました。



そんな、おぼろ気な記憶の中、ニンジャさんの言葉を聞いたような気がしました。



『愛してる』って。







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鬼畜忍者。

初の裏でした。お目汚し失礼です。

2008.11.29


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