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最初はちょっとした好奇心だった。
ほんの少し触れるだけで、耳まで真っ赤にする彼女がこの上なく魅力的に映ったのだ。
普段は剣道部のマネージャーとして部員をひっぱり、そしてケアをしてくれる。
俺は体育科、彼女・名さんは普通科。
出会うのはいつも部活のときだけだった。
だからマネージャーとしての一生懸命な彼女の姿しか知らないから、ちょっとからかっただけでこんなにかわいらしい反応を見せる子だとは露知らず。
そしてそんな彼女の魅力にどっぷりと浸かってしまった。
はじめは、肩。触れるだけのスキンシップ。
俺自身なぜはじめにそんなことをしたのか覚えていない。
「お疲れ様」
その一言と一緒に深く物事を考えず行動した結果がそれだった。
ぽん、と軽く触れたその肩は壊れてしまいそうだった。
全然力を入れていないのに、「痛いですよー」と口をとがらせてくる彼女がなんだか新鮮に思えた。それはよく覚えている。
その次は手。
重い荷物を運ぶときに代わってあげたときに掴んだその両手の小ささ。
まるで紅葉のような大きさで、それでいて同じ人間のそれとは思えないくらい、やわらかかった。
何気ないときになでた頭、彼女が怪我をしたときに処置した脚。
触れる箇所が増えていく度にお互いを意識するようになって。
そして、恋人とよばれる関係になった。
そうなってから、俺の触れるエリアは増えた。
恋人でないと触れることができないその場所を責めると、名はこの上なく可愛らしい反応を返してくる。
両目に涙を溜め、どうしようもない本能を理性で必死に押しとどめながら懇願する姿は。
最高に俺の心を興奮させてくる。
「―…ね、名?」
そういって俺は眼下で横たわる名に声をかける。
彼女はそんな俺の問いかけは聞こえていないらしい。
肩で息をしながら、体をぴくぴくと震わせていた。
「と言っても聞こえてないか…」
すっ、と手を彼女の太ももに這わせるとびくりと反応を示す。
それなら大丈夫か、と思いながら。内側へゆるゆると移動させ、円を描くように指先を動かした。
「…っあ…ん…、そ、れ……ぁぅ…」
「それが、何?どうしたの?」
「んぅ……宗長く、ん…いじわるぅ…」
「……いいね、その顔」
ちゅっ
「もっと苛めたくなる」
「ひぁ…っ…!」
わざと音を立てて胸元に吸い付く。
赤い花を遺し、それをあちこちに咲かせる。
そのたびに悩ましい声をだしながらあえぐ名。
「ねぇ名?もっと、してほしい?」
にやりと口の端をつり上げながら俺は問いかける。
「む、むねながく…ん…」
はぁはぁと肩で呼吸をしながら、切なげに俺を呼ぶ。
熱と色が込められたその声から彼女の求めていることがなんなのかは用意に伺い知ることができた。
しかし俺はそれを察してあげるほど、優しい人間じゃない。
「なに?してほしいことがあるなら、ちゃんと自分の口から言わないとダメだろう?」
「…え…っ…」
――そう、お前の口から聞かないと。何の意味もないだろう?
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ご存知の方がいらっしゃるのかどうか。
まずはそれが問題です。
明稜帝好きなんですよ。八樹くんラブ。
2012.04.01