短編集 | ナノ


Sia affogato!

「名ー、なぁ、名ってばよォー」




パッショーネのアジトにあるソファにごろごろと転がる少年が一人。

少し離れた椅子で読書をする少女が一人。


広いアジトに居るのは彼ら二人きりだった。




つい先刻まで少年・ナランチャは飛行機模型で一人遊びをしていたが、どうやらそれにも飽きてしまったらしく。
同じく部屋に居る少女・名に声をかけた。彼女がずっと読書に集中していることをナランチャは分かっていたが。
たとえ彼女の邪魔になったとしても、これ以上一人で時間を潰すことに我慢が出来なくなってしまったのだ。



「なぁってばー、聞いてるのかァー?名ー、構ってくれよォー…」



相手にしてもらえないことが純粋に寂しいのか、ナランチャはソファから身体を起こし、名の近くへ寄っていった。


ナランチャが名を後ろから抱きしめた時、漸く彼の存在に気づいたのか。
名は心から驚いたようで、間抜けな声を上げてしまったのだった。


「名ってば!!」


「きゃぁっ!!


…な、ナランチャ…吃驚させないでよ…」


「本当に気づいてなかったのか?名ー…」



どきどきと五月蝿い心臓をナランチャに気づかれぬよう、名は必死に心を落ち着かせようとしたが。
本当に気づいてもらえていなかったことが哀しかったナランチャは、先ほどよりも腕に力を込めた。



「ナランチャ…恥ずかしいよ…」



「名が悪いんだ。俺のこと、無視するから」



「あ…ごめんなさい…。わたし、本を読むのに集中しちゃってて…」



「ゆるさねー」



名の反論なぞ聞き入れず、ナランチャは腕に力を込めたまま彼女の首筋に唇を這わす。
ちゅ、とわざわざ音を立てながら。首筋への攻撃をやめようとしないナランチャ。
名は名で、彼からの攻撃に耐えるべく、口元に手を当てている。


「…ん、ふぅっ…」

「我慢するなよなァー…俺ら以外に居ないんだから」


声を出さないようにしている彼女が気に入らないのか。
ナランチャはぐいと名の腕をひっぺがした。


「…声、出せよ」


そのまま掴んだ腕をぐいと回して、お互い向き合うように。
じっと見つめる瞳に名の鼓動はおさまることなどなく。

顔に熱が集まっていく感覚を、彼女は覚えた。



「良い顔するじゃん。可愛いよ、名」



今度は唇に。

ナランチャは何のためらいも無く、名の唇を貪り。
角度を変えて。深く、深く啄むように口付けを繰り返す。

息継ぎをさせる暇なんかあげるもんか、と考えながら。

唾液が零れたり、歯が当たったりもしたが、そんなことに惑わされることなく。


名の口内を激しく犯していった。



時折もれる彼女の甘い声に興奮を覚えながら、最初は唇。次は首筋、鎖骨…と。
徐々に這わせる場所を下げていき、胸元で一旦止めることに。



「っは…ぁ…、はぁっ…」



「どう?キモチイイ?」



にやり、と悪戯少年のような微笑を浮かべながらナランチャ。
名はもう余裕を失ってしまったのか、とろんとした眼差しを向け、荒くなった呼吸を整えようとしているだけだった。
その姿は言わずもがな扇情的に映り、ナランチャ自身も余裕がなくなりそうだな、と。思ったのだ。


「意地悪してすまねー。けど、俺が呼んでるのに気づいてくれない名が悪いんだからなッ」



明らかに言い訳だな、と彼自身思いつつ。
名の身体をひょいと持ち上げて、先ほど自分が転がっていたソファに横たわらせた。



「だから、俺からのオシオキ。だぜ?」




ナランチャは自分に出来うる一番大人びた声を鳴らし、名の上着を脱がせ始めたのだった。







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初ジョジョ夢、にして微裏ってどうなんだろう自分。orz
大好きなナランチャ夢です。おっかしいな…最初はほのぼのにするつもり、だったんです、けど、も…


…池上は考えるのをやめた。←←←

口調とかこんなんで合っているんだろうかとか思いつつ。

執筆]08.12.23


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