短編集 | ナノ


いつものこと

「やだ…ケビン…凄くおっきいよ…」


頬を赤らめながら、名はつぶやく。どきどきと心臓がうるさく、彼女自身、顔に熱が集まっていることを自覚していた。


「そうか?そうでもないぜ?」

「おっきいし…長い…。」

「…ありがとな、とでも言えばいいのか…?」




ぎゅ、とケビンは優しく名を包み込むように抱きしめる。ふわりと漂う彼女の香りにケビンもまたどきりとし、緩やかに指先を絡めた。



「ほんと、ケビンの手、おっきい」

「名が小さいんだよ」


手の平を合わせ、ぴたりと重ねる。
かなりの身長差がある二人でもあるため、手の大きさもかなり異なる。指の1〜2関節分も違いのある掌。




「(…ちっちぇえな…。紅葉みたいだ)」



そんなことを考えながら、ケビンは鉄仮面で赤くなる頬を隠す。
擦り合わせてみたり、指を絡めてみたり。
時折、くすぐったいのか。名が鼻にかかる甘い声を漏らす。


「(…変な声出すなよ…)」


そんな彼の胸中など知りもせず、名は不思議な感覚に頬を染めながら堪えていた。



「けっ…ケビン…


ケビンのさわりかた、なんかくすぐったいよ…。。。へんなかんじがする…あぅ…」




その瞬間、彼の頭の中でなにかが切れた。


決定的な、なにかが。





絡めていた指をほどき、一瞬残念そうな目で見上げる彼女の肩を掴み、ぐいと押し倒す。

唖然とした表情が自分を見つめ、一拍置いてまた赤くなる。
なにかを言いたそうにしていた唇を強引に塞ぎ、何度も深く啄む。



…悪いな、と口にはださず、謝罪する。


いちいち可愛い名が悪いんだぜ、と言い訳をしながら。


仮面の貴公子はゆっくりと彼女の肌に触れた。







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初作のケビンが綺麗だと、某時鴇たまに言われたので、微妙に奇行らせてみた。

どのへんが奇行かは正直判断に困りますが(苦笑)

ケビンはまだ若いので元気です。←←←


08.11.26


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