短編集 | ナノ


しあわせなとき

「ケビンの髪、凄く綺麗」


さらりと流れるブロンドヘアー。リングで戦う超人なのに、こんな綺麗な髪質だなんて。


「羨ましいな…」


何度も何度も、指で梳くように彼の髪に触れる。さらりとしているだけでなく、程よい柔らかさも含む彼の髪。
とても愛しくて、顔を寄せてしまう。

すると彼はくすぐったいらしく、軽く身をよじる。


「名、くすぐったいだろ…」

「うー…だって…」

「だってじゃねぇよ。
…そんな潤んだ瞳でこっちを見るな…」


少し照れたような彼。
蒼い鉄仮面をつけていても、様子でわかる。絶対彼は照れてる。

ちょっとだけいじわるをしたくなって、彼の首に腕を回す。そしてゆっくりと仮面をはずす。
ふわっとブロンドヘアーが広がり、困ったようにケビンは笑った。


「…全く…お前ってやつは…」



と、同時にぎゅっと抱きしめられて、首筋にキス。
ちゅぅ、とわざわざ音を立てて吸われ、鮮やかに咲く紅の華。

「そんなことしたら、恥ずかしいよ…」

「隠す必要ないだろ…名は俺のなんだからな…」



わたしよりも大きな身体の甘えん坊は、そう言ってわたしの唇を塞ぐ。


どちらからともなく唇を離し、わたしはにこりと微笑む。



「ケビン、だいすきだよ」








+ー+ー+ー+ー+ー+
初!ケビンです。

2008.11.14


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