短編集 | ナノ


どうして嫌いになれないの? 04

4.あなたの瞳には


ある日、練習試合が執り行われた。

落ちた強豪、なんて言われている烏野高校にとって願ってもない機会。

それゆえに部員みんな、気合入っているように思えた。
それはマネージャーであるわたし達も同じ。


毎日の練習もしっかり行っている。もちろん、意欲的に。
決して弱いチームじゃない、と思う。



―だけど、結果は負け。惜しいところまでいけたものの、こちらの攻撃がなかなか通らず、
それでいて相手校からのそれは通る…良くない流れになってしまい、それを断ち切れず…という結果に。


澤村せんぱいの目は、敗北による悔しさでいっぱいだったけれど、その奥にギラギラしたなにかがあった。

次はこういかないからな、覚えておけよ、とでも言いたげな。リベンジに燃えた、瞳。


これ、知ってる。わたし知ってる。あの瞳。


……あの目。あの目にわたしは落ちてしまった。


ぎゅっと強く握り締められた拳。

ぶるぶると小刻みに震えていて、試合の結果にどうしようもない悔しさを覚えているんだと思った。




バレーボールのことしか見ていないけれど、その瞳を一番近くで見つめていたい。

澤村せんぱいのあの真剣な瞳を、他の誰でもない、わたしが、彼の一番近くで。




ふ、とそこで我に帰った。

今わたしは何を考えていた?



―それってつまり。もう今の関係じゃあ満足してないってことじゃない。



バレー部員と、マネージャー。

そのラインを越えてしまいたい。



澤村せんぱいと恋人同士になりたい。


そんな欲求を抑えることが、段々難しくなってきたの。





     せんぱい。貴方の瞳に、わたしのことも映してほしい。ワガママですか?







  どうして嫌いになれないの?/HQ 澤村大地
   永遠恋夢。



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段々制御が効かなくなってくる前兆…。
しかしこの主人公は年齢のわりに周りのことを考えすぎなようなきがする。


2015.6.26執筆

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