短編集 | ナノ


誰も知らない物語

※R18です
※ヒロインの自慰行為
※少々変態かもしれません










―…今日の日直、

 御伽龍児、氏名……


黒板に書かれた白い文字をそっと指でなぞる。

早朝の、誰もいないいつもの教室。
そう、今日、わたしは御伽くんと日直当番なのだ。

彼の名前と自分の名前が並んでいるだけで思わず顔が緩んでしまう。
それぐらいに、些細なことで嬉しくなってしまう。

考えれば考えるほど、片思いをしているときの心境って…単純。


席がちょっと近くなった、廊下ですれ違った、何気なく名前を呼ばれた。


そんなことひとつでわたしの心臓は高鳴り、動悸も早くなる。


『名ちゃん』


その柔らかい声で自分のことを呼ばれる。
ただそれだけでどうしようもなく、御伽くん、貴方への恋心を思い知らされる。



「……っ、はぁ……」


だけど。だけどそれでも。

どれだけ好きでも、今わたしのしている行為は、歪な恋心なんだと、思う。


早朝の教室。誰もいない、静寂の間。

小鳥のさえずりと、遠くに聞こえる運動部の掛け声。車の、街の音。


爽やかな朝に不釣り合いな、水音。


それは、わたしのショーツの、中から。


「いけ、ないのに……こんなこと……でも…‥っ」



ずっと片思いしていて、大好きな御伽くん。

そんな彼が毎日使っている、この机。
少し丸みを帯びたその角を。わたしの一番大事なところにあてがって、こともあろうに悦んでいる。

しかも学校…教室で。

あと小一時間もすればクラスメイトが投稿して、勉強や学校生活を満喫するこの空間で。

わたしは……彼の机を使って、オナニーによがっている。


そんな非常識な事実がスパイスになってより一層興奮させてくる。



さすがに直接すり合わせる勇気がなかったから、スカートの上からだけど。
大好きな人の使用しているものだからかな。どうしようもなく、気持ちいい。

両目を瞑って下半身からクる刺激を感じる。
彼の使っているもので、オナニーをしているってことは。
それはつまり間接的ではあるけど、御伽くんに、ココを触ってもらっているようなもの……


「…ぁ、あ……」


息が、荒くなる。
自分の妄想は、本当に都合がいい…。

脳裏に御伽くんのことを思い描いただけで、一気に快楽の度合いが増したのだから。



「だめ、、、物足りない……」



そうなると衣服の上からの刺激じゃあだめ、足りない。

もっと…もっといやらしいことをしたい。

もっと……御伽くんを感じたい…。


ちらりと教室の時計を見上げると…まだ時間に余裕があった。
こんなこともあろうかと、かなり早い時間に登校してよかったと、片隅でそう思う。



のろのろと足を動かし、彼の椅子をぐいと引く。
すとんとそこに腰を下ろし、ぱたん、とそのまま倒れこむ。

机に突っ伏して、居眠りをするかのような、その体制。

わたしは今、御伽くんの椅子に座って御伽くんの机に顔を近づけている。

彼に包まれているような、そんな都合いい解釈をして、右手を伸ばす。
その先はもちろん、さっきから疼いて疼いてしょうがない、ショーツの中。

つつ…と指先で触れてみると、自分でも呆れてしまうくらいにぐっしょりとしていた。




ぷっくりとしたそこを指でぐいぐいと押してみる。
それだけで漏れてしまう、甘い吐息。

…この状態で直接触ったらどうなるんだろう。

スカートの上からの刺激だけでこんなになっているというのに、
直接刺激を与えてしまったらわたしはどうなるんだろう。

そんな誘惑としかとれない妄想に思わず唾を飲み込む。


ぐい、とショーツをずらしてビンビンと主張した突起を弾く。


「っは、ぁ…ん」



…なにこれ。

思わず、制服の袖を噛む。
そうしないとあまりの気持ちよさに、大きな声を出してしまいそうだった。
誰もいないとはいえ、それはさすがにまずい。

でも、なにこれ。今までのオナニーよりもずっとずっと、ずっとずっとずっとずーっと、気持ちよすぎる……。


場所が自分のベッドじゃなくて、御伽くんの普段使っている空間だからかな。

後ろから彼に抱きすくめられて、厭らしく御伽くんを求める秘部をいじめられて。
思わず甘い声が漏れてしまう……。ダメだよ、と抵抗してもそれはなんの効果もなくて。

むしろ彼を煽ることにしかならない。




「やだ……だめ、よすぎ、るよぉ……」




こんなこと考えてしまったらもう止まらない。止めることなんてできやしない。

ここが朝の教室だということを忘れてわたしは快楽をただひたすらに求めて指を動かす。

クリトリスをこするだけだった指は無意識のうちに蜜壷へ伸び、ぐぽぐぽと卑猥な音を立てながら出し入れをしていた。


根元まで入れて…くい、と指を曲げるとざらざらとした感触。



『…名ちゃんは、ココがいいの?』



含んだ笑みを浮かべながらそう囁く御伽くん。
自分の弱いところを的確に責められて、身も心もどうしようもなくとろけていく。



「お、おとぎ…く……んっ、おとぎくんっ……

 あぁ……すき……だいすき………



 だいすきなのに、…んぅっ……こんな、こんな……ぁぁっ、」




びくびく、と体が震える。

一拍おいて認識した。ああ、イったんだって。


力なくしばらく机に突っ伏して、息を整える。
ちらりと見上げた時計が指していた時間は、まだ少し余裕があるように思えた。

早く落ち着こう……。そして、何事もなかったように今日一日振舞おう。


何度か深呼吸をして落ち着かせて。
自分のカバンからハンカチとポケットティッシュを取り出した。

愛液まみれの指や、すこしだけ付着した御伽くんの椅子を丁寧に拭き取って
あらかじめ容易しておいたポリ袋に放り込む。
匂いがもれないよう固く縛って、小さな容器で持ってきていたルームミストを軽く空間に吹きかけた。

これでオナニーの痕跡は消せたかな…。


証拠隠滅するかのように荷物をカバンの一番奥にしまいこんで、わたしは教室をあとにする。

そう、日直日誌を職員室へ取りに行くためだ。


教室のドアを開けて、きょろきょろと左右確認。
…人の気配は、しない…。よし。

慌てず、騒がず、自然に。後ろでにドアを閉めて。何事もなかったように職員室を目指した。




今日一日、御伽くんはあの椅子に座ってあの机で授業を受けるんだ…。

そう考えただけでどうしようもない背徳感とスリルが襲ってきて。
わたしは歪む表情を抑えることに必死だった。





















「……しまったな……」


思わずそんな言葉がもれた。

日直当番ということもあって、普段より早めに登校したら。
まさかクラスメイトの女の子があんな行為に熱中していたなんて。

しかも、大人しそうな印象の、名ちゃん。

決して自己主張するようなタイプではないし、どちらかというと目立たないようなそんな子。

…まぁ、杏子ちゃんをはじめ、僕の周りにいる女の子はどちらかというと気の強いタイプが多かったから。
結構新鮮で、たまに話したりするとあまりないリアクションを取ってくれて。割と癒されていた、んだけど。


「あんな…激しいのをするなんてね……」


しかも僕の机で…とは、事実であってもなんとなく口に出すことができなかった。


思い出しただけでも顔に熱が集まる。
普段と全然違う、いや…違いすぎる一面。

あんな色っぽい声や、顔ができたんだ…と思った。


「(今日一日…どうやって過ごそうか……)」



それが一番の課題だな、と。

僕・御伽龍児はそう思ったのだった。









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昔、リアルタイムで遊戯王DMを見ていた時は
どうしようもなく海馬社長がだいすきでした。
もちろん今もすきなのですが、見直してみると御伽くんがいい男すぎて辛いです。
顔が見れるということは結構がっつり見てたんだね御伽くん
なのになぜ気づかれないの?と思われたでしょう。
忘れてはいけない、彼のネット上での扱いを。

\空気/
(もちろん御伽くんすきです)

2015.1.23


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