※恋人同士 名前変換なし
旅の途中で立ち寄ったレディレイクで、宿をとって休憩中。
自由行動ということで私とデゼルは街を歩いていた。
「ハロウィン…みんなお祭り好きだよねえ」
「お前は違うのか?」
「うーん、お菓子は好きなんだけど、こうやって騒ぐのはあんまり好きじゃないかも」
此処に来るまでハロウィンの存在すら忘れてたし、と続けると、デゼルは分かりやすく溜息をついた。
「…いま、女らしくないとかおもったでしょ」
「想像に任せる」
そういうデゼルの口元は笑っている。この野郎…。
デゼルは度々こうして私の女っ気のなさを小馬鹿にしてくる。
本当に恋人として好かれているのか不安になるから正直やめてほしいのだけれど。
「…トリックオアトリート!」
悔しさで、デゼルに向かってそう言い放ってみる。
ふふん、お菓子が出せなければこっちのものだ。どんな悪戯をしてやろうか。
「そらよ」
「えっ」
意外や意外。デゼルは透明の袋にリボンでラッピングが施されたマドレーヌを差し出してきた。
つまり私の作戦は失敗に終わった。
「…菓子が出てこなければ何か悪戯でもしようと企んでいたというところか」
「ぐぅ…」
にやにやと笑いながら腕を組む黒ずくめの大男は、完全に私を見下している。
悔しいが完敗だ。でもお菓子は嬉しい。
「で?お前の方は?」
「私…は…」
「ハロウィンにすら気づいていなかったんだよな?」
たじたじの私に歩み寄り、デゼルは耳元で囁く。
「宿に戻ったら、悪戯させてもらうとしようか」
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開設〜ハロウィン通り越して年明けても拍手に置いていたお礼文です。
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