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▼ 光は闇に恋していた

光は闇に恋していた。
世界に最初にあったのは闇で、神はそこから光を創った。
光は闇に憧れていた。
創られた自分とは違う、自ら生まれた闇のその存在にただただ惹かれた。
闇はどうということもなく、無関心そうに、けれど言い寄る光にはやんわり微笑みだけ残し、独りを好みそうでいて、いつも光の話をふんわり聞いた。
光はそれがまた嬉しくて嬉しくて、好きの気持ちは募るばかり。

ある日、光は本当の本気で闇に想いを告げた。
闇は真剣に聞いてはくれたが、やがて重い口を開くとこう言った。
「我と主は闇と光であって、であれば我等が混じってしまえば我等は何になるのであろうな?」

考えてもいなかった光は困ってしまって絶句した。
けれどやがて思案に思案を重ねこう呟いた。
「貴方と私が重なる時を、では“影”と名付けませんか?」

──闇は世界の初めにそこにあり、
光は神が創った闇を恋うもの、
そして影はそんな闇と光が生んだ、始まりの愛なる存在だという、これは小さな小さな創世記のお話。


2015.7.1

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