(会話のみ パラレルワールド的なやつで、小さい時と高校の2人)


「あれ、きみ、何してるの」
「う、?あ、僕の風船が」
「風船?もしかして、あの木に引っかかってるの?」
「うん。買ってもらったんだけど転んじゃって」
「ふーん で、なんで泣いてるの?」
「だって、僕、木登れない」
「ばかみたい」
「ふぇっ」
「諦めるの?登ったの?」
「登ってないけど…」
「登ってないのに登れないとか言うな」
「だって、怪我しちゃうし」
「じゃあ風船諦めなよ」
「やだ!」
「男がいつまでもくよくよ泣くんじゃない!」
「うっ、だってぇ」
「なんなの!?結局どうしたいの!!?」
「ふっ、風船とる!」
「なら立って!」
「うん…」
「ほら、一緒に来て。」
「登るの?」
「怖いなら登らない」
「じゃあどうするの?」
「頭を使うの」
「頭で飛ぶの?」
「発想が怖い。手繋いで」
「ん」
「長い木の棒で、枝が付いてるやつ、探して」
「あったよ?」
「もっと長いの!」
「これは?」
「それ!」

「えい!」
「な、何してるの?」
「枝先に風船の紐を巻き付けて、木を太くて長い棒で軽く揺らすの。上手くいけばきっと取れる」
「ほっ、ほんとに?」
「上手くいけばだけど」
「あっ、取れてる!」
「え?あっ、ほんとだ」
「やったあ!ありがとう!」
「どういたしまして。ほら、これ、腕に巻いて」
「うん!」
「取れないようにぎゅっと握って」
「これで大丈夫だね」
「ねえねえ」
「まだ何か用?」
「名前教えて」
「私?最初に名乗ってよ」
「え?僕は、柊深夜だよ」
「私は百夜翔子だよ」
「これから、よろし…」
「あー、多分無理だよ。弟妹いっぱいいるし、今日はおつかいで外に出たから」
「もう会えないの?」
「奇跡でもなきゃ会えないんじゃない?」
「なんで?」
「だって、柊って、柊家でしょ?身分が違うしね」
「そ、そんなこと」
「そんなことあるんだよ」
「まっ、待ってよ」
「じゃあね」




「はあー、高校生になったのに、翔子ちゃんに会えなかったなあ」
「どうしたのよ深夜」
「真昼は黙っててよ」
「あー、わかったわ!深夜の想い人のことでしょ」
「うるさいなあ」
「百夜ー、あ、いたわよ」
「は」
「名前のところ見て、同じクラスに百夜翔子っているじゃない」
「うそ」
「ほんと、みたいよ」
「……」
「ほら、あそこ見て。あなたの言ってた特徴と合う子が居るじゃない、ってあら?」
「翔子!!!」
「……私と許嫁なんて、可哀想すぎるわ」




「っえ、?」
「僕のこと、覚えてるかな?」
「えっと、柊、しんや……?」
「良かった、探してたんだよ」

……ー奇跡でもなきゃ会えないんじゃない?ー……

「あ」
「奇跡ってね、起きたら奇跡じゃないんだよ」
「だから?」
「これは、運命なんじゃないかって思うんだ」
「うっ、うんめ、い?」
「ねえ、僕ね君のこと大好きなんだよ」
「だから、なによ」
「これからも、僕のそばにいて欲しい」
「……勝手にしろ、風船少年」