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銀時とソーコの二人がターミナルから突き出た壊れた宇宙船に到着した頃、漸く幕府から助っ人が到着した。空から現れた幕府の軍艦。その先頭で仁王立ちしているのは、破壊神・松平片栗虎。真選組の直属の上司にあたる。その大胆なやり口で警察庁長官まで登り詰めた人物だ、彼の軍艦が通った後には塵一つ残らないという。


「とっつぁん自ら出て来るたァ驚きだな、こりゃターミナルも残らねぇんじゃねーか…?」


一番門を担当している土方は、突如として空を覆うように現れた幕府の軍艦を見上げ、冷や汗を垂らす。更にそこに慌ててやって来た山崎が、聞きたくない情報まで持ってきた。



「副長ォォ!ヤバイです、ターミナルの上層部に沖田隊長がいます!!」







◆◇◆◇◆◇



壊れた宇宙船の船底部では、既に星海坊主が一人で闘っていた。銀時の姿を目にすると米神に青筋を立て、鋭い眼差しで睨み付けてくる。


「今更何をしにきた若造!どのツラさげてここに来れたんだてめーは?」


元々星海坊主は、一人娘である神楽を連れ戻しに江戸にやって来た。当然神楽はそれを拒んだが、銀時は神楽を故郷へ帰れと突き放し、万事屋を解雇したのだ。暫く一緒に暮らしていたのに見送りにも来ない薄情な男だ、と星海坊主は半ば呆れていたのだが、神楽の落ち込み様には目も当てられず、呆れが怒りに変わっていくのにそう時間はかからなかった。

しかしその薄情な男は、命懸けで此処まで登ってきて、今自分の目の前に立っている。


「俺とお父さんでえいりあんやっつけるから、オッキーはあっち頼む」


銀時が小声であっち、と指差した先に居た人物を見て、ソーコは目を見開いて駆け出す。

えいりあんの素早い攻撃を避け切れず、今にも致命傷を負いそうな少年を、ソーコは間一髪で助けた。


「おい眼鏡、場違いじゃねェのかい」


お前みたいな地味な男が前線に立っているなんて。
皮肉を言いながらもソーコは笑っていた。
ソーコが今斬り捨てたえいりあんの脚は、未だに意思を持っているかの如く蠢いている。


「お、沖田さん…!どうして此処に?」


「そりゃコッチの台詞でィ。一般市民はさっさと避難してくれねーと困りまさァ」


挑発するようにそう言うと、新八はきっと目を吊り上がらせて反論する。


「神楽ちゃんを放ってノコノコ避難なんて出来ませんよ。銀さんがいなくたって僕が…」


連れて帰るんで。
そう続けようとしたが、ソーコが右手を突き出して制止をかける。そしてゆっくり、新八から見て右側の方を指差した。



「“銀サン”なら彼処にいるぜィ、眼鏡」


「…えっ」


誰かが闘っている音が聞こえる。
つい先程までは星海坊主の番傘による銃撃音だけが響いていたが、それとは違う音もする。戦闘音だけではない、大の大人二人が大声で言い争いをしているのも聞こえてきた。
それは嫌という程聞き慣れた声でーー…その正体を悟った時に、新八の視界がぼやける。


感動に浸っている新八には悪いが、ソーコは銀時と星海坊主の姿ではなく、その先の空を見つめて驚愕していた。


幕府の軍艦。一隻ではない。


何故此処に?なんて聞くほど、ソーコは馬鹿ではなかった。




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