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裸のまま布団に倒れ込み、そのまま意識を失ってしまったソーコを、銀時は優しく介抱する。
互いの体液で濡れた身体を拭き、着物を着せてやる。
隣から規則正しい寝息が聞こえてくる頃には、時刻は真夜中を過ぎていた。
ソーコを抱いた。その事実が銀時の中に大きな幸福感を生み、身体は疲れている筈なのに目は冴えてしまった。
暫くソーコの寝顔を眺めていると、彼女が不意に眉を寄せたので、銀時は顔を覗き込む。
「喉、渇いちまった…」
かすれた声でそう訴えてくるので、銀時は立ち上がり、冷蔵庫から冷えた麦茶を持ってきてソーコに飲ませてやる。コクリと喉を動かし、ふう、と息を吐くと、うっすらと目を開けたソーコは銀時をゆっくりと見上げた。
先程までの鋭い眼光は消えており、眠そうな目をソーコに向けて、銀時はポツリと呟いた。
「好きだ」
簡潔な言葉だったが、その一言を噛み締めるように目を閉じる。このまま死んでしまってもいい。ソーコは身も心も満たされたまま、今度は深い眠りについた。
◇◆◇◆◇◆
新八はいつも大体午前9時頃に出勤してくる。
なので今日もそのくらいだろう、と高を括っていたのがそもそもの間違いだった。
朝7時。窓から差し込む日光で自然と目覚めた銀時は、漸く寝静まったかぶき町の町並みなら聞こえてくる声に飛び起きた。
窓の外では、この町には似合わないやんちゃな声が騒いでいる。
「定春ゥゥ万事屋まで競争アルヨーー!!」
元気な掛け声と共に、ドドドドと地鳴りのような足音が此方に向かって来るのが解る。
はたと寝室の中を見渡せば、散乱した下着とティッシュ、乱れた布団、そして隣には死んだように眠っているソーコの姿。
これはヤバイ、と徐に立ち上がり、ティッシュをゴミ箱にまとめ、使用済みの避妊具2つもティッシュに丸めて捨てる。
ソーコには布団をしっかりかけてやり、自分は即行で服を着替え、寝室から逃げるように立ち去った。
ちょうどその時、神楽が玄関の扉をガラリと開けた。
「オハヨー銀ちゃん!!ドS起きたアルか?」
元気いっぱいに挨拶をして、ズカズカと中に入ってくる神楽に、銀時は冷や汗を垂らしながら奥へ向かうのを制する。
「起きてない起きてない、さっき寝たばっかだから寝かしといてあげて神楽ちゃん」
頼むから300円あげるから。
必死に引き止める銀時を不思議そうに見上げると、新八と定春も家に上がってきた。
申し訳なさそうに、おはようございますと頭を下げる新八に、銀時は鬼の形相で答える。
テメェら何でこんな朝早く乗り込んで来んだよ思春期ならその辺の事情わかってんだろーが!!
と、言葉はなくとも銀時が言いたいことを充分に理解した新八は、すいません、うまく誤魔化せませんでした、と平謝りする。
仕方なくテレビをつけ定位置についた神楽の背を恨めしげに見て、「俺ちょっとコンビニ行ってくるわ」と言い残し、銀時は朝飯を買いに出掛けた。
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