その日はいつもと変わりない普通の日だった。
挑戦者が相変わらず少ない何てことない日常。
トキワジムは最後だからな。
ここまで来れるトレーナーはめったにいない。
ただいつもと違うのは、シロガネ山に登っていたはずのエンが、オレの目の前にふらっと現れたこと。
あいつがオレを訪ねるなんて珍しい……
「どうせ元気にしてんでしょ」とか言って放置するやつだから。
それでも時々顔を見せには来るけどな。
オレの目の前に現れたエンはいきなりこう言った。


「どうしてグリーンはシロガネ山に来ないの?
あんなにレッドを心配してたのに」


いやいやオレはジムリーダーだから、長い間ジムを空けるわけにはいかねぇだろ。
たとえ挑戦者が少なくてもだ。
大体オレが行かなくても、エン繋がりであいつが元気だって分かるし。
(入ってくるってのが正しいっていうのか?)
心配しなくても、あいつは本当に馬鹿だしよ。
そんな簡単にくたばらないって、オレでも知ってる。

それにレッドと顔が合わせにくいというか……
あの時(一話)は成り行きだったから気にしなかったけど。
だってオレがレッドと顔合わせるのってリーグ以来だったはず。
気まずいんだよ。
しかもチャンピオンになった直後に、あいつに負けたしな!
オレのプライド、ズタボロだったし。
レッドに会えってのは酷すぎんだろ?(だからオレヘタレなのか…?)
でもまあ、さすがにトラウマも薄れてきたし……会ってもいいかな…
いやでも……
悩みあぐねるオレに、エンが小さな声で呟いた声を確かにオレは聞き取った。


「このヘタレが……ちっ」


あれ?今こいつ舌打ちしなかった?
え、そんな黒いキャラだっけ。
確かオレらを心配してくれる優しい幼なじみだったよな?
それが舌打ち、とか……聞き間違えかなぁ。


「グリーン。レッドの所に行くよね?」

「あ、いやまだ心の準備が……」

「はあ?グリーンがレッドに会いに行ってくれないと、あたしの萌はどうなるのよ」

「も、…?」

「レグリもいいけど、あたしはグリレなのよね。
なのに肝心のグリーンが行かないと妄想できないじゃない。
寒い吹雪の中、上着を貸してそのまま……ああいい、うん。いいわ」

「グリレって何だよ!」

「グリーンは気にしなくていいの。
ほら、早くシロガネ山行きなさいよ」

「よく分からねぇけど……絶対に行かねえ!!
(なにか分からねぇが怖い!餌食にされそう!)」

「ちょっ、こらグリーン!待ちなさいっ……あいつ…逃げたな。
仕方ない。グリーンのヘタレさに待ちくたびれたレッドが山から降りてくることにするか。
襲い受けってのもいいかも。
次のコミケまであと少ししかないのに……〆切り間に合うかな」






(エン怖いエン怖い…)
(レッド、下山してグリーンに会いに行ってよ)
(めんどくさい)





駄目だこりゃ\(^O^)/

思った以上にグリーンがヘタレに…w
ごめん、プライドズタズタだね(^p^)

これでも愛はある方だと言いたい。






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