「そういえばエン、ホウエン地方に行きたいんだって?」
「うええっ、何でそれをレッドが!」
「博士から聞いた。エンに図鑑の完成もお願いしたいって」
「ホント?私図鑑持ってないんだよねー、いらないと思って断っちゃったから」
「……一緒に行こうか」
「へ?どこに」
「ホウエン地方」
「レッドが?」
「うん」
私は聞き間違えたのだろうか。
あのシロガネ山にひっきー(引きこもり)で、ポケモンしか眼中にないあのレッドが!
まさか自分の意志でシロガネ山を出ると!?
……私、てっきりレッドがシロガネ山に骨を埋めるかもとヒヤヒヤしてたんだよね。
しかも標高高いし外は吹雪だし。
私を凍結死させるレッドの陰謀か何かかと思ったよ。
ただえさえ体温低いのに、これ以上寒くさせないでほしい。
自宅にもまったくと言っていいほど帰る素振りを見せなかったレッドがなあ……
まるで子供の成長を喜ぶ親の気分だ。
「レッドが着いてきてくれるなら百人力だね!
ゴーやグリーンに言ったら羨ましがるよきっと」
「ゴー?」
「ジョウト地方の子、少し前に知り合って……その子も図鑑持ってたから、図鑑に書かれてる情報を見せてもらったりさ」
「……エン」
「それにグリーンはホウエンの珍しいポケモンに興味持ってるし。
話だけで手土産になっちゃうなあ……」
「エン」
「うん?」
「やっぱりホウエン地方に行くの禁止」
「ええ!?まさかの禁止令スか!!」