「エン、ちょっと下まで下りてくる」

「分かったー、じゃああたし水運んどくね」

「すぐ戻ってくるから」


そんな会話をレッドとしたのはついさっきのこと。
下まで下りてくる、というのは食料が尽きたので買ってくるという意味。
だってあたしも加わってポケモン7体+レッドだもんね。
しかし驚いたのはレッドが料理のうまいこと。
確かにこんな所にいたら嫌でも自炊しなきゃいけないだろうけど。
多分あたしよりうまいんじゃないかな………何だか凹む。
あたしだって料理できるよ?
でもね、こんな体じゃペットボトル持つのも精一杯なの、フライパンなんてよれよれ。
それでも頑張ろうとしたらレッドに取り上げられて「危なっかしいから禁止」とまで言われる始末。
……いつもレッドに迷惑かけてるからお礼がしたかったのに。
リリーさん(魔法使いの人)は1週間くらいって言ってたよね……明日元に戻らないかなあ。
大切な用事があるの、ある人に直接渡したいものが………

レッドのフシギバナにつるのムチで、ボトルに水を入れてもらう。
ボトルはあたしが一生懸命引きずって持ち運ぶ。
大丈夫、水場はテントに近いから………やっぱり重たい、ちょっと無茶だった。
仕方ない、フシギバナに運んでもらおう。本当に申し訳ない。


「ごめんねフシギバナ」

「これくらいどうってことない。
それよりご主人たちがそろそろ帰ってくる頃だから、テントの中を片付けた方がいい」

「そうだね。じゃあフシギバナに任せる」


フシギバナはとてもレッド思いのいい子、ラプラスもリザードンもピカもカメックスもカビゴンもみんなレッドが大好き。
こうやって話していると伝わってくるんだ。
羨ましいなレッド……こんなに愛されて。でもあたしだって今はいないけど手持ちの子達が大好きだもん!

寝袋や空き缶が多少散らばったテント内は、元々狭いのがさらに狭く感じる。
リュックからゴミ袋を引っ張りだし缶、燃えるゴミ、燃えないゴミときちんと分別する。
やたら缶が多い気がするけど……しかもポケモンフーズの缶。
今度迷惑かけたお詫びに、エンちゃん特製スペシャルフーズを作ってあげようじゃないか。
あたしの作ったフーズは、毛並みが良くなると評判なんだぞ。
レッドの手持ち一匹一匹にどんな木の実をブレンドしたフーズを作ろうか思案しつつ、ゴミ袋を集めるためにテントの外へ出た。
テントに迫る影を知らずに………


「ギャオオォォォ!!」

「え、な…に……」


いきなり頭上でした唸り声に顔を上げた瞬間、あたしは殴られて気を失った。









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