「道具切らせちゃったし、よかったら一緒に買い物行かない?」


なんてマヨに誘われて、思わずグリーンと一緒にバトルする予定をすっぽかしてしまった。
(一応プテに手紙を預けてるけど)
多分怒られるけど、マヨからのお誘いを断るだなんて、オレにはできない。
好きな子のお願いって聞いてあげたくなるものだろ?
……たとえオレからの一方通行だとしても。
それにマヨの笑顔を独り占めにできるなんて滅多にないしな。
だってマヨはいつも誰かと一緒にいるから。
グリーンとかイエローと話してる内容だって、本当は気になる。
マヨはブリーダーで、コンテストで優勝して以来、いつもファンが周りにいる。
大体が女の子だけど、中には同じ職業柄仲良くしたい、みたいなやつもいる。
その中には男も少なくない。
マヨの周りにいるやつは、もはや性別関係なくオレのもやもやの対象。
あからさまな嫉妬に頭が痛くなる。
だって付き合ってもいないのに、嫉妬とか心狭すぎるだろ!

本当はいやだけど……きっと、チャンピオンになったオレを訪れる人たちと変わらないんだろうな。
自分のことは棚にあげて、なんてできねぇよ。
…でも、少しだけ。
願いが叶うなら……オレの気持ちを考えてくれ。
たとえ女の子でもだめだ、絶対にダメ!


「ねえレッド?」

「っなにマヨ!?」

「これなんかいいと思わない?」

「そうだな、いいんじゃないか」

「……レッド大丈夫?疲れてない?」

「全然平気だって!オレが元気ないところ、見たことあるか?」

「……ない」

「だろ?」

「良かった…なんだかぼーっとしてたから。
荷物、持たせちゃってごめんね?」

「これくらい構わないって。
女の子に重い物持たせるわけにはいかないだろ」


確かにオレの両手は、マヨが買った買い物袋で塞がっている。
でもたいした重さじゃないし、女の子…特にマヨに物を持たせたくはない。
なんというか……男の意地?みたいな。
周りからすれば、安っぽいプライドでしかなさそうだけど。
それにオレが荷物を持つことで、周りからそういう目で見られたいというか…
勘違いされたい。
とにかく下心満載のオレは、ごめんね?と謝る、純真な笑顔に顔を背けるしかなかった。
悪いなマヨ、男…いや、好きな人がいるやつって大抵こんなもんだと思うよ。
ただの好意だけですることはきっとない。
どこかしらに思惑があるんだからな。
つまりは人を簡単に信じるなってこと。
……いや、それがマヨが良いところでもあるのか。
分け隔てなく好意を振り撒くことができる。
表裏のない優しさに、きっとオレは惹かれたんだろう。
そのマヨがとんでもない発言をしてなければ、オレは今でも考えることに耽っていただろう。


「なんかこうしてると、デートみたいだね。
物を持ってくれるとことか何気レッドが紳士だし。
まるで彼氏みたい!」

「なっ…!?」


何気ない顔でなに爆弾発言しちゃってくれるんだこいつは!
緊張するからなるべく意識しなかったのに。
確かにそう見えたらいいなあ…とか少し思ってたりしたけどっ。
え、なに?期待してもいいのか?なあ、



「デートだねー」

君の一言に翻弄されるオレ
どうしようもなく好きなんだろう





リンちゃんなう/鏡音リン
例のシリーズ没ネタ2





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