スぺレ
猫擬人化設定




「よっマヨ。今日もすす素敵、な毛並みだな…!」

「ごきげんよう気ままな野良猫さん。今日も来たのね」

「レッドって呼んでくれって言っただろ!」

「野良レッド」

「あいかわらず扱いひどくないか?」

「気のせいじゃない?」


あーあ、またマヨに適当にあしらわれるオレ。
こんなに辛辣にされても、オレはめげずに彼女の元へ通い続ける。
この間、よく見かけるもさっとした黄色い花をプレゼントしたけど、捨てられてるのかもな……
オレは気ままな野良猫。
人間たちをしり目に昼寝ばかり。
マヨは優雅な飼い猫。
毎日お風呂に入って、白い毛並みは輝いてきれい。
別にひがんでいるわけじゃない。
自由に生きるニャン生は、自分で選んだんだから。
オレはただ、彼女と一緒にいたいだけなのに。
マヨを誘っても、彼女はするりとかわしてしまう。
一人がいや?
ならオレの仲間を紹介するよ。
それにオレもいるから、寂しくなんかないって。


「もしかしたら車に跳ねられちゃうかもしれないじゃない。
そんな怖い外の世界なんて、私行きたくないわ」


外の世界が危ない……もっともすぎて反論できなかった。
外の世界は自由だ。
でも安全というわけじゃない。

毎日のご飯も
夜の寝床も
道を歩くことも

生きていくことに必死。
同じ日常が繰り返されることなんてない。
だけどオレは変化しない毎日なんて耐えられない。
君と一緒にいたいけど、マヨが嫌がるならしょうがない。
オレは、いつか遠い遠い北にあるという、オーロラというものを見てみたい。
街角の景色が映る箱で見たんだ。
七色のカーテンがゆらゆら揺れてきれいだった。
あれにしがみついてみたいと、本能的に思った。
その隣に、君がいたなら……
なんて素敵なことだろう。
だから言ったんだ。
オレと遠い場所まで行ってくれませんか?


「……私の生き方は簡単には変えられないわ。
それに私を待っている、女の子を悲しませたくないの。
でも……」


知っているよ。
君の飼い主は、とっても可愛くてマヨをすごく大好きなんだ。
オレが嫉妬するくらいに。
けどオレからしたら、一生に一度だけと言えるくらい勇気を出したんだけどな。
……不覚にも泣きそうになって、ここにいるのも気まずくて。
オレは静かに逃げ出した。
こんな顔見られたくない。
フラれて泣くとか……どんだけ女々しいんだよオレ。
たんたん、と塀を伝って走り出す。
視界が滲む、


「ねえちょっと!聞いてるのレッド!?」


張り上げられた声にオレは立ち止まる。
おそるおそる彼女のいる窓を見上げたら、どうやら怒っているようだ。
どうして彼女がそんな顔をしているのか分からない。

「あ、明日もここに来ていいんだから!!」

待ってるわ!


彼女の思いがけない言葉に、思わず停止してしまう。
そして数秒後に勢いよく顔を隠す。
やべ、オレ顔にやけてない?
意外すぎるそれにオレは顔のほころびが止まらない。
なに?可愛すぎるだろ!
これは期待していいのか?

とりあえず、明日も行こう。
絶対マヨに断られると思うけど、もう一度誘ってみる。
いつもすましている彼女だけど、いつか一緒に来てくれるって。
そう思えたんだ。




嗚呼、素晴らしきニャン生
Song by レン&GUMI





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