「ひっく…うう、」
「泣くなよマヨ」
そんなこと軽く言うけどね？涙が止まらないんだもん。
仕方ないじゃないか。
分かってた、こんな結末になるって。
彼は私を幼なじみだと見てはいても、決して異性ではなかったのだと。
分かり切っていた結果の答えを望んだのも私。
ぽろぽろ、止まらない涙はそれだけ彼のことが好きだった証。
簡単に泣き止めなんて、言わないで。
今くらい泣かせてくれたっていいじゃない。
たくさん泣いて、気持ちに整理つけて、また新しい恋をさせてってば。
じゃないと前に進めない気がしてならないの。
立ち止まって未練がましい感情に自分で嫌気が差して、がんじがらめになりそうだから。
…でもまだしばらくは引きずりそう、かな……
ずっとずっと、それこそ何年も想い続けてきた大切な感情。
宝箱のようにしまいこんで、遠い未来にこんなこともあったなぁ…って思いたいの。
本当はどこかに行って、と突き放して一人になりたい。
でも彼はこれまで私の相談にのってくれた。
彼とサトシは仲悪いようで実のところそっくり(生活面ね)。
だから彼のことをよく知ってる、と言って提案したのはサトシ。
今まで相談にのってもらったのに、どっか行ってなんて言えないよ。
ああ、行き場を失った私の恋心が彷徨って泣いている。
「マヨ」
「っ…なに……」
「こんな時に言うのは卑怯だと思う。けど、」
「…サトシ？」
「オレ、今までずっとマヨが好きだった。
だからこうやって隣でマヨが泣いてるのを見てたら、涙を拭ってやりたいと思う。
それにオレならマヨを泣かせたりしない」
ウソよ、冗談でしょ？
ねえサトシ、そうなんでしょう。
サトシがずっと私を……なんて、私を救う為ならそんなウソはつかないでほしい。
優しすぎるあなたのウソで、こんなにも戸惑っている私。
グラリ、その言葉がとても痛い。
「シゲルを好きなままでいい。
オレが傷を癒して、好きにさせてみせる」
なあ、マヨ
だからオレを見て？
ああなんて甘美な言葉。
好き、だなんて私の望んでいた答えにふんだんの砂糖を盛って。
確かに私はシゲルが好きだったはずなのに……ほら、もう傾きかけてる。
弱すぎて本当に好きだったのかと問いかけたくなるよ。
もしかしたら私は誰かに愛されたいだけかもしれない。
愛するより愛される方が幸せだとか何とか、ある意味都合のいい言葉。
姿の分からない誰かを求めて手を伸ばしたら、少し大きな手のひらが私を掴み寄せた。
サイコロジスト
人間は弱っているときに優しくされると、好きになる傾向があるっていうよね？(聞くなよ！)