「オレ姉ちゃんのこと好きだ」
「私もよ」


いつもの掛け合い、いつもと同じ言葉。
オレは本当のことを言ってるのに、姉ちゃんはいつも嘘吐きだ。
同じ血が流れているから?家族だから?
実の姉に恋をしたらダメだなんて誰が決めた。
オレは今日も姉ちゃんに好きだと言う。
そしたら姉ちゃんはこう返すんだ、「私もサトシのことが好きよ」と。

ほら、姉ちゃんは嘘吐きだ。






月は青白くオレの愛しい人の顔を照らす。
そのたびにマヨは青白い肌なんだと実感する。
すやすやいびきもかかず、寝返りを打つこともなくマヨは静かに寝息を立てる。
綺麗な顔立ち。オレの姉ちゃんとは思えないくらいにつかない顔立ちのそれ。
どんなにタケシが美人のお姉さんだと言って色んな人に飛びついても、姉ちゃんより美人な人がいるわけない。

そっと頬に触れる。
マヨは微かに身じろぎをしたので起こしてしまったかと冷や冷やしたが、また寝息を立て始めたのでほっとした。



「なあマヨ。昼間のあれは嘘なんかじゃないんだ、本当に好きなんだ。
実の姉が好きなんておかしいだろ?でも好きなんだ。
マヨが他のやつ見ているの見たら苛々するし、オレだけを見ててほしいとも思う。
旅してるんだからそんなの到底無理な話だって分かってる。好きだ、好きなんだマヨ………」

そしてオレはマヨのぷっくりとした唇に、自らのそれを重ねた。



たった数秒、触れ合うだけのキス。
もっと触れていたい、それ以上のことがしたいと欲望が溢れ出てくる自分が嫌になる。
けどそれは駄目だ。心がない行為なんて虚しいだけでしかない。

だからいつか振り向かせてみせる。
たとえ周りになんと言われても。


「愛してるマヨ姉ちゃん」




罪に溺れていく

(弟は知らない)
(本当は私が起きていることを)
(私は何度も言い聞かせる)
(弟を好きになってはいけないと)





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