「…しょうがないな、入ってやるよ」

「……え?」


いきなりレッドとの距離が近くなって思わず距離を取ると、レッドに肩を掴まれて抱き寄せられる。
肩が濡れるよ、なんて反則じゃない!
赤くなっているであろう顔を誤魔化すために、逸らしてみる。
(レッドが一瞬眉を潜めたことに気が付かなかった)
しかしなんでいきなり入るだなんて言い出したんだろう。
…もしかしてぐちぐち言われるのが嫌だったから、とか?
だって言ってたじゃない「しょうがないから」って。
あれが照れ隠しじゃなくて、本音だとしたら?
……一気に思考が暗くなってしまう。
あー、駄目だ。
欝状態だから思考まで暗くなってしまうのね。
レッドが悪くないって分かってるのに、悲観したくて罪を擦り付けてる。
なんて嫌なやつ。
自分で自分が嫌になる。


思考を張り巡らせていたら、私の手からレッドが傘を取って閉じる。
いつの間にか夕立が止んでいた。
レッドが傘を畳んでくれたので、受け取ろうと手を出した。
でも「ありがとう」の言葉は、口から中途半端に漏れて終わる。
だってレッドが、差し出した私の手を握っていたから。


「レッ、ド…?」

「……ほら、帰ろう」

「え、あ…うん」


微妙な空気が間を流れる、でも今度は嫌じゃなかった。
繋いだ手から温もりを感じる。
胸が苦しい……釣り鐘みたい。
こうして手を繋ぐなんて小学校の低学年以来だ。
さっきまで時間が遅く感じたのに、繋いだ手を意識してたらいつの間にか家の前まで来ていて。
ああ、また月曜に会うけど、この温もりを離したくない。
ずっと手を繋いでいたい。
そして私は、とてもレッドが好きなことに気付く。
もう諦めることすら出来ないほどに。
だからこそ幼なじみという絆が邪魔でしかたない。
でも、その繋がりがあるからこそ、こうして一緒にいられるのだと言うことも理解してる。
……いや、これからもずっと会えるじゃないか。
これっきりの別れでもないんだから。
そう思って手を振りほどこうとしたら、ギュッと強く握り締められた。
このまま手を繋いでいたら、心音まで伝わりそうなくらい。


「レッド……もう家の前だよ?」

「……たくない」

「?、何か言った?」

「…いや、」


やがてするりと離れた手。
(少し温もりが寂しいなんて)
今日久しぶりにレッドと目が合った。
真剣な眼差しに圧される。


「レッド…?」

「今日の名前、すごく可愛いと思う」

「……え」

「それだけ言いたかった」


じゃあなと、言い逃げしてレッドは背を向けて家に入ってしまう。
一瞬のことに私は目を丸くするばかり。
……今、可愛いって言ってくれた?
もしかして今日1日中、目が合わなかったり、どこか上の空だったのはその一言のため?

ねえレッド、期待していいのかな。





「メルト」by初音ミク

(やっと言えた…!)
(月曜どんな顔をして会えっていうのよ!)




テーマ:若かりし僕らの青春(意味不明←)
書いていて何が書きたかったのか分からなくなった。
ただ甘くしようと頑張ってみた。
シリアスなのか甘いのか自分でもよく分からん結果になった。
(何だそりゃ)






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