お友達の龍瀬へ^^




「さすがセピア、ボクの服をここまでcuteに着こなせるのは君しかいないよ。そう思うだろう?LULU」


自分が仕立てた服に惚れ惚れしながら隣にいるキルリアのLULUに話掛けているのは、幼なじみのルビー少年。
そして私は彼の幼なじみである現在エンジュシティ在住のマヨです。
ルビーが引っ越して以来会う機会が減り、ちょっと寂しい思いをしていた時彼から手紙が届いたのだ。
内容はルビーブランドの服のモデル。
あ、ルビーがたくさん服を作るから勝手にブランドだとか言ってるだけなんだけどね。
ルビーはすごい。手先が器用で何でもこなすし、バトルセンスも親譲り。
まさにどこへ嫁がせても恥ずかしくない、というべきか。
対して私は大雑把で、コンテストよりもっぱらバトル派である。

そもそもジョウトにはまだコンテストという概念が行き渡ってない。
なんせコンテストというものはホウエンの方が主流で、ジョウトにはコンテスト会場があまりないからだ。
それにジョウトは、ミクリさんというトップコーディネーターよりも、伝説のトレーナーであるレッドさんの方が有名である。
多分それはカントーでも同じじゃないだろうか。
だからってコンテストを否定するわけじゃないけどさ。
ただ私にとってポケモンは相棒であり、共に成長する友達だから。
どうしてもコンテストというものは、ポケモンを美しく魅せるトレーナーの自慢というか……自己権力を示す道具にしか見えない節がある(ように思ってしまう)。
これを言うと多分ルビーに怒られる、君はコンテストを分かっていない!とかね。



話が逸れた。
私が今回モデルに抜擢された理由は一つ、研究である。
何でも野生児並みの女の子に出会って服を一着プレゼントしたけど、他に服持ってなさそうで心配だから私に色々な服を着てもらい、よりすぐりの服を彼女にあげるという。
……羨ましいなあ。
だってルビーが悩みぬいた服がもらえるんだよ。
決めてる間はその人だけのことを見ているんだから。
恥ずかしながら私は物心ついたときから彼のことが好きで。
でもルビーには好きな人がいるという噂を聞いた瞬間、彼のことを諦めた。
勇気を出し思い切って本人に確かめたら、顔も名前も覚えてないけど確かにその子が好きだったと、そう言われた。
あのルビーが好きになるんだ。
きっととっても可愛くて、ルビーの作った服がよく似合うんだろうな。
ていうかルビーが似合わない服を作るはずがないけど。
私は記憶の中の女の子に負けたんだ、これほど切ない恋はない。

そう考えていたらルビーに「セピア?」と名前を呼ばれた、どうやら顔に出ていたらしい。
さっきまで鳴り止まなかったフラッシュ音が消えて、部屋の中が静かになる。
「何でもない」気まずくて顔を逸らすと、ルビーに腕を掴まれて彼の方に向かされる。
紅い瞳がじっと見つめてくる。
心を見透かされそうだと思った。


「せっかく君にお似合いのCuteな服を着てもらってるというのに、モデルがそんな顔しちゃダメだろ?」

「……?これ他の子にあげるんじゃ」

「!いやそれはあの、」

「ルビー?」


いきなり頭をかきむしり始めたルビーの帽子がずれて、黒髪が少し覗いて見える。
だってこれはサファイアちゃんとかいう女の子にプレゼントするんでしょう?
なのに私に似合うって……もしかして、


「私とサファイアちゃんの容姿が似てるとか」

「そんなことない!あんな野生児がセピアと似てるなんて!」

「……女の子に失礼だよ」


サファイアちゃんとは似てないらしい。
なんだか力一杯否定するので、ちょっと勢いに押されてしまう。
そんなに否定することないと思うんだけど……
「じゃあなんなの?」そう問い詰めたらルビーは黙ってしまった。
ねえルビー、答えて?











人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -