太陽の欠片
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「なぁ、きょうはいっしょにあそびにいくか?」
「え?」
「namae、いっつもうちにいるだろ?たまにはそとであそぼうぜ?」
「うん!」
あれから新一はサッカーの時以外はあたしと一緒に居てくれる。
今日は一緒に遊びに行こうって誘ってくれるし、どうしたんだろう?
何かあったのかな?
「しんいち、そのこだーれ?」
「いまおれんちにいるnamaeだよ。namaeもいっしょにいいだろ?」
「うん!もちろんだよ!あたし、らんっていうの!よろしくね?namaeちゃん!」
「うん!」
蘭ちゃんは新一の幼なじみなんだって。
幼なじみって何か分かんないけど、友だちとは違うのかなぁ?
「きょうはなにしてあそぶ?」
「かくれんぼは?」
「かくれんぼってなぁに?」
新一のおともだちを紹介してもらって、何して遊ぶって話になったら、かくれんぼって言われた。
かくれんぼってどんな遊びなんだろう?
「namae、かくれんぼしらねぇのか?」
「うん…」
「じゃあ、おにごっこは?」
「わかんない…」
それからも、缶けりとかいろんな遊びをみんなは言ってくれたけど、お外で遊んだことが少ないあたしにはわからなかった。
こんなにたくさんの人数で遊んだことないし…。
「あたし、かえるね!」
みんなも、蘭ちゃんも新一も、困ってるのが分かったから、あたしはお家に帰ることにした。
「ゆきちゃん、ただいま!」
「あら?なまえちゃん、今日は新ちゃんとお外で遊ぶんじゃなかったの?」
「あのね、」
みんなの前では泣くのを我慢してたけど、ゆきちゃんを見たら涙が止まらなかった。
「あたしね、あんなにたくさんのおともだちとおそとであそんだことないの。だから、おあそびがどんなのかわかんなくて…」
どれでもいいから、遊び方を教えて欲しかったんだけど、新一たちを困らせちゃったから帰って来たんだってお話した。
「だったら、おれがおしえてやるからいっしょにあそぼうぜ?」
「え?」
ゆきちゃんに抱きついて泣いてたら、いつの間にか新一が息を切らせて帰って来ていた。
「ほら、」
「でも…」
「いいから!こうえんにもどろうぜ?みんなオメーがかえってくるのまってっからさ」
新一に手を繋がれて、一緒に公園まで行きながら、かくれんぼの遊び方を教えてもらった。
「みんなー!かくれんぼやろうぜ!」
「namaeちゃん、おかえり!」
「はじめてあそぶんだから、ルールおしえなきゃわかんないのに、きづかなくてごめんな?」
みんなは笑顔であたしを出迎えてくれて、それが嬉しくてまた泣いちゃったけど、あたしもみんなにごめんなさいして、みんなでかくれんぼをすることになった。
「かくれていいのはこうえんのなかだけだからな?」
「うん!」
じゃんけんで勝ったあたしは隠れる方で、見つからないように大きな木の上に登って隠れることにした。
「キレイだなぁー」
お空を見上げると、雲がうっすら広がっていて、お絵描きしたみたいにキレイだった。
咲希ちゃんが見たら笑って喜んでくれるんだろうなぁ。
「またみっけ!」
「ちぇ…くどうがおにだとすぐにみつかっちまうんだよなー」
下では次々に鬼さんの新一がみんなを捕まえてるらしい。
「あとはnamaeちゃんだけだねー」
「はじめてなのに、さいごまでみつからないとかスゴイよね!」
「くどう、もうこうさんしてnamaeちゃんにでてきてもらえば?」
「ヤだね!ぜってーおれがみつけるんだ!!」
降参っていうのは、鬼さんがどうしても隠れてる人を見つけられなかった時に敗けを認めることで、それをしたら、隠れてる場所から出て来るんだよって蘭ちゃんが教えてくれた。
木の枝や葉っぱが邪魔で、下の様子は見えないけど、新一が必死になってあたしを探してくれてるんだと思うと何だかドキドキした。
「namae、みーっけ!」
しばらくして、新一が木の上まで登って来て、あたしは見つかってしまった。
「みつかっちゃった」
「オメー、よくこんなとこまでのぼれたな。おかげでなかなかみつかんなかったじゃねぇか」
クスクス笑う新一の笑い声が気持ちよくて、あたしもクスクスと笑っていた。
新一の笑顔ってやっぱり太陽みたい!
「ほら、おりようぜ?」
「うん!」
新一と一緒に一番下の枝まで降りると、みんながこっちを見上げていた。
「namaeちゃん、そんなとこにいたんだー!」
「そんなたかいとこにいて、だいじょーぶ?」
「だいじょうぶだよ!みんな、あぶないからちょっとはなれててね」
「え?」
みんなが木の下から離れたのを見て、あたしはぴょんって飛び降りた。
「namaeちゃんすごい!」
「ねこさんみたい!」
「えへへ」
あたしはこうした方が普通に降りるより簡単だから、飛んだだけなのに、みんなに褒められてくすぐったくなった。
「namaeってスゴイんだな。あんなたかいとこからとびおりちまうんだもん」
もう暗くなるから帰ろうって、みんなとバイバイした後、新一と手を繋いで帰ってたらそんなことを言われた。
「そうかな?」
「おう!まさかてっぺんまでのぼってるなんておもわなかったしな」
今日の新一はよく笑ってるから、あたしまで嬉しくなる。
「あたしはしんいちのほうがスゴイとおもうよ?」
「え?」
「サッカーできるし、バイオリンもできるし、あたしをみつけてくれたもん!」
「…」
「さすがみらいのホームズだね!」
ホームズって言うのは、新一の大好きな探偵さんなんだって。
新一はホームズの話をするときは、いつも以上に瞳をキラキラさせてるから、あたしは新一からホームズの話を聞くのが大好き!
「かえったら、またホームズのおはなしきかせてくれる?」
「おう!」
なんだか、新一と一緒にいるとワクワクして楽しいな。