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世間はGWだっつーけど、事件は祝日とか関係なく起こるわけで。
今日も目暮警部に呼び出されて殺人現場へ行ってきた。
事件自体は簡単なもんで証拠も動機もバッチリある犯人に俺の推理を披露して終わったんだけど、呼び出された時間が遅かったせいで、家に着く頃にはもうすぐ日付が変わっちまう時間になっちまった。
自分の家に帰っていたら、門の前で座り込んでるなまえを見つけた。
あいつこんな時間に何やってんだよっ!!


「なまえっ!」
『あ、新一お帰りー』
「お帰り、じゃねーよっ!こんな時間に何やってんだ!?危ねぇだろうがっ!!」
『ちょっと待って。後2分だから』
「は?何言って…とりあえず中入るぞ」


よくわからないことを言い出したなまえを家にあげたら、なまえはずっと腕時計とにらめっこしてる。
どうしたってんだ?
暖かくなって来たとは言え、ずっと外で待ってたんであろうなまえの為に珈琲を淹れにキッチンに入ったら、何故かなまえもついてきた。


「なまえ、どうしたんだ?今日のオメーなんか変だぜ?」
『後ちょっとだけ待ってね』
「何が?」


腕時計から目を離さないなまえに今日何があったか考えたけど、何も思い付かなかった。
日付が変わった5月4日は「最後の事件」でホームズがモリアーティ教授とライヘンバッハの滝に転落した日だし…


『新一!Happy Birthday!』
「へ?」
『だから、今日新一の誕生日でしょ?』


思考を張り巡らせていたら、なまえが急に抱きついてきた。
そうか!俺の誕生日か。
すっかり忘れてたぜ。


「まさかオメーその為だけにうちの前で待ってたのかよ?」
『だって新一いつ帰ってくるか分かんなかったんだから、仕方ないじゃない』
「別に明日でも良かっただろ?」
『新一におめでとうとありがとうは一番に言いたかったの!』
「ありがとう?」


誕生日なんだから、おめでとうは分かる。
けど、ありがとうって何だ?


『生まれて来てくれてありがとう!あたしと出会ってくれて、彼女にしてくれてありがとう!これからの新しく刻む時間に新一の幸せが溢れていますようにっ!』


プレゼントらしい細長いラッピングされた箱を両手で大事そうに持って俺に向けながら、


『出来れば、これからの新一の時間にもあたしがいれたら嬉しい、な』


なんて頬を染めながら、んな可愛いことを言い出すから、今度は俺からなまえを抱き締めた。
誰がオメーを離すかよ。

なまえの甘い香りに誘われたようにどちらからともなく唇を重ねれば、初めはついばむように触れるだけだった口付けを重ねていたのが、どんどんと深く甘いものになっていった。


『ふぁ…し、いちっ…』


息が出来ないと俺の胸を叩くなまえだけど、潤んだ瞳も乱れた息も俺を煽るだけだった。


「なぁ、なまえ。俺、今すぐ欲しいプレゼントがあんだけど」
『なぁに?』
「なまえが欲しい」


俺の発言に真っ赤になってしまったなまえ。
ホントにこいつはどれだけ俺を溺れさせれば気が済むんだろう。
なまえの手を取ってそのまま俺の部屋まで連れて行った。


「オメーが俺を煽るから我慢出来なくなっちまったじゃねぇかよ」
『あたし別にそんなことしてな…んっ』


なまえをベッドに寝かせた後、覆い被さるように上に乗れば、まだ文句を言いたそうな口を塞いだ。
オメーにその気がなくても、こっちは理性抑えるのに必死だったんだっつーの。
どうせこんな時間まで俺を待ってくれてたんだし、今日はこのまま泊まって行くつもりだったんだろうと勝手に解釈して、そのままじっくり時間をかけて何度もなまえを味わった。

寄り添うように俺の腕の中で眠ったなまえが起きたのは、ちょうど俺が目を覚ました時だった。


『新一、おはよー』
「体、大丈夫か?」
『少しだるいけど大丈夫だよ。ご飯作ってくるね』


ベッドを抜け出そうとしたなまえの腕を引っ張って、また俺の元へと引き戻した。


『新一?』
「飯なんか後でいいからさ。もう少しこのままでいようぜ?」
『今日の新一、なんだか甘えん坊だね』


クスクスと笑うなまえの声が心地いい。


「プレゼントなんか何も要らねぇからさ、オメーの時間を俺にくれよ」
『あたしの時間はいつも新一のものじゃない』


幸せそうに笑うなまえにもう一度口付けをした。




【Happy Birthday!】


プレゼントは君との甘い時間で十分だ。

『昨日あげたプレゼント、開けてくれないの?』
「ん?そういや、あれ何が入ってんだ?」
『開けてからのお楽しみだよ。推理で当ててみたら?探偵さん』
「にゃろう…」

なまえとじゃれつきながら、今日だけは警部から呼び出しがないのを心ん中で願ってた。


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