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貴方にまた会える日を


今日は蘭と園子とあたしの仲良し三人組で、買い物をして、その後にカフェでお喋りをすることになった。


「でね、昨日の夜、真さんから電話があったのよ!」
「なんだかんだ言って園子と京極さん仲良くやってんじゃない!」
『そういう蘭はこの前告白された憧れの先輩とどうなったのよ?』
「あ、あれは…その…お、お付き合いすることになった、けど…」
「マジで!?ちょっと蘭!何でそのこと教えてくれなかったのよ!?」
「昨日そういう話になったから、今日二人に言おうと思ってたの!」
『まぁまぁ、園子落ち着いて。蘭だってちゃんと報告してくれたんだしさ』
「そうだけどさー」
『あーあ。これで独り者はあたしだけになっちゃったか』
「なーに言ってんだか。あんたには新一くんって旦那がいるじゃない!」
『だって片思いだし、今何処にいるかも分かんないしさー』
「新一、なまえのところには連絡して来ないの?」
『連絡はたまにくれるよ?でも蘭と違って全然会ってないもん。やっぱ新一って蘭のことが好きなのかな?』


新一が事件を追って何処かへ行ってしまって数ヶ月。
あたしが最後に会ったのは蘭と一緒にトロピカルランドへ三人で遊びに行った時で、その後も何度か蘭の所には顔を出したという話を聞いて少し、というか、かなり落ち込んでいた。


「そんなことないわよ!絶対新一だってなまえのこと好きだって!ね、園子?」
「そうそう。だからそんな顔しなくったって大丈夫よ!」
『でもさー、たまに帰って来ても、そのこと知るのって蘭から連絡貰った時だけだし…』
「分かった。今度新一が帰って来たら、なまえに会いに行けって言ってあげる!」
『いいよ。無理して会いに来てもらってもなんか余計ヘコみそうだし…』
「あーもう!何でさっさと告白しちゃわないのよ!」
『そんなこと言ったって、本人いないんだから仕方ないでしょ?』
「なまえ、ちょっと携帯貸して」
『え、いいけど…何するの?』
「新一くんに電話すんのよ」
『ちょ、ちょっと園子待って!新一いつも留守電だし、きっと今日も繋がらないって!』
「そんなのやってみなきゃ分かんないじゃない。あ、コール音鳴ってるし、大丈夫よ!」
『え?えっ!?ちょっと蘭も園子止めてよーっ!』
「大丈夫!あたしも新一にガツンと言ってやるから!」
『だから辞めてってば!』


あぁ、もう。どうしよう…。
久しぶりに新一の声が聞けるのは嬉しいけど、園子が何言い出すか分かんないし…。


「あ、もしもし?新一くん?」
「園子か?何でオメーがなまえの携帯から電話してくんだよ?」
「今一緒にいるのよ!で、居なくなってから一度もなまえに会いに行ってないっていうのはどういう了見よ?」
「は?オメー何言って」
「あんたが蘭にしか会いに行かないから、なまえが落ち込んでるの!」
『ちょっと、園子…もういいから、新一困らせないでよ』
「園子ちょっと貸して?ちょっと新一!今度いつ帰って来れるのよ!?今度こそちゃんとなまえのとこにも寄ってくれるんでしょうね!?」
「ら、蘭!?オメーまで一緒にいんのかよ!?」
「そんなことどうだっていいでしょ!で、今度いつ帰って来れるの!?」
「んなのまだ分かんねぇって!」
『ちょっと蘭貸して。新一?何かいきなりごめんね?二人の言うことなんか気にしないでいいから。じゃあね』
「あ、ちょっ、なまえ」


新一が何か言ってた気がするけど、携帯を切って思いきり息を吐き出した。
はぁ。せっかく新一と話せたかもしれないチャンスを棒にふっちゃったのはツラいけど、あのままにしてたら二人が何言い出すか分かんなかったし、仕方ないよね。


「ちょっと、何で切っちゃうのよ!あのくらいガツンと言ってやらないと新一くんは分かんないのよ!」
「そうよ!いっつも事件事件ってすぐどっか行っちゃうんだから!」
『でも仕方ないよ。新一探偵なんだしさ。それに推理してる時の新一の表情あたし好きだし…』


うん。事件を追ってる新一も好きなんだから、別にあたしはそれで構わないんだ。
ただ全然会えないのがちょっと寂しいだけで…


『あれ?新一からメールだ』
「何て?」
『えっと…』


“全然会いに行けなくて悪い。事件片付けたら一番に会いに行くから。だから待っててくれ。”


そのメールを読んだ途端によく分かんないけど、涙が出てきた。


「ちょっと、なまえ…大丈夫?」
『うん、大丈夫。蘭、ありがとう』
「ねぇ、あんたこの追伸読んだ?」


いつの間に携帯を奪ったのか、園子があたしの携帯を持って画面を見せてきた。
追伸?そんなのあったっけ?
どうやら画面をスクロールしないと見れなかったらしい。


“帰ったら一番に伝えたいことがあっから、逃げんなよ”


どうしよう…。
今から軽く逃げたいんだけど…。


「これって新一くんがなまえに告白するって意味なんじゃない!?」
『えっ!?いや、それはないって!』
「絶対そうよ!新一が帰って来たら、ちゃんと付き合い出したって報告してね!」
『だから、勝手に話を進めないでよ!あたし変に期待して全然違う内容だったらどうすんのよ!』


そうだよ。
期待して裏切られるよりは、期待しないでいた方がいい。
でも、一番に会いに来てくれるっていうのは嬉しいから、それだけは期待しててもいい…かな?







【貴方にまた会える日を】

楽しみに待ってるから、たまには連絡してくれると嬉しいな。

って、まだ騒いでる二人を余所にそっと返信してみた。
新一から次に電話が来たのはこの日の夜だったりする。
たまには、素直になることも大事だよね。


→あとがき


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