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- ナノ -


01


ピンポーン


「悪ぃ、なまえ!寝坊しちまってまだ支度出来てねぇんだ。上がって待っててくれねぇか?」
『うん、分かった』


今日は新一とデートの日。
別にどっかで待ち合わせでもいいのに、前に新一を待ってたあたしがナンパされてたのを見た新一が危ないからって言い出して、デートの日は新一の家に集合がお決まりになってしまった。

でも、寝坊って新一らしいな。
あたしは久しぶりのデートが嬉しくて早起きしちゃったんだけど、もしかしたら昨日もまた事件だって警部に駆り出されてたのかもしれない。


「待たせちまって悪ぃ。んじゃ、行こうぜ?」
『うん!今日はドコに行くの?』
「内緒」


新一に繋いでもらった手が嬉しい。
普段は蘭や園子(特に園子が主だけど)冷やかされるのがイヤだからって、こういうことしてくれないんだもん。
だから、自然と足取りも軽くなる。


『ここって…』


新一が連れて来てくれた場所はアクセサリーショップだった。
新一、アクセサリーとか普段つけたりしないのに…何で?


「最近事件ばっかで構ってやれなかっただろ?」
『別に新一遊んでるわけじゃないんだから、そんなの気にしなくていいのに』
「オメーが気にしなくても、俺が気になるんだって。それに、」
『それに?』
「最近、なまえよく呼び出しくらってっから虫よけにペアネックレスでも買おうかと思ってよ」


正直驚いた。
新一があたしが告白されてたことを知ってたこともだけど、まさか新一の口からペアネックレスなんて言葉が出てくるなんて思ってなかったから。
そりゃあ、あたしも新一とペアなもの持てるのは嬉しいけど、新一はそんなの興味ないと思ってたのに…。


「俺とペアとかイヤか?」
『ううん、その逆だよ!すっごく嬉しい!』
「そっか!」


驚き過ぎて固まってたあたしを見て、新一が不安そうな顔してあたしを覗き込むから、満面の笑みで否定した。
そしたら、新一も安心したみたいに笑ってた。
好きな人とペアなモノ持てて、喜ばない女のコなんていないよ!


「なぁ、なまえはどれがいい?」
『んー…これも可愛いけど、こっちの方が新一に似合うと思う』
「別に俺は何でも構わねぇから、なまえが好きなヤツ選んでくれていいんだぜ?」
『ダメだよ!せっかく新一がペアモノ付けてくれるって言ってくれたんだから、ちゃんと選ばないと!』


あまりにも真剣なあたしに、新一は目を丸くした後笑いだした。
あたしだって、新一とペアだったら何でも嬉しいんだよ?
だから、ここは普段アクセサリーなんて付けない新一が付けてもいいって思ってくれるようなの選ばなきゃって思うじゃん!


『あ、これ!』
「へぇ。凝ってんのにシンプルだな」
『ねぇ、これは?これなら新一も付けてくれる?』
「オメー、これでいいのか?もっと可愛いヤツとかのがいいんじゃねぇのかよ?普段こんなの付けてねぇだろ?」
『あたしは新一とペアだったら何でも嬉しいよ?だから、新一に似合うヤツ選びたかったの!』


それにこれ見た時に一目惚れしたんだぁって言葉は多分新一には聞こえてないと思う。
だって男物の方を新一に合わせてやっぱり似合うよって笑ったら、新一が顔真っ赤にしちゃったから。
新一って推理の時にはすっごいキザなセリフもポンポン出るのに、何で普段はこんなに照れ屋さんなんだろう?


「じ、じゃあコレにすっか。俺買ってくっからちょっと待っててくれよ」
『あ、あたしもお金出すよ?』
「いいって!俺がオメーにプレゼントしてぇんだから!」


レジへと走って行った新一はまだ顔が赤かったけど、ペアネックレスのプレゼントとかホントに嬉しい。
新一が会計を済ませて、外に出ると早速新一があたしにネックレスを付けてくれた。
あたしも新一に付けたかったんだけど、残念ながら背が足りなくて、新一が当たり前のように自分で付けてた。
せめてあたしも蘭くらいの身長あったら新一に付けてあげられたのに…なんて思ってもこればっかりはどうしようもない。
ペアネックレスを付けて、すっごく嬉しいんだけど、どこか恥ずかしいような不思議な気分に浸って、ネックレスのトップに触りながらニコニコと眺めてると新一が真剣な顔して忠告して来た。


「いいか、それ絶対外すんじゃねぇぞ?」
『言われなくても外さないよ!新一と初めてのお揃いなんだもん!』


新一にありがとうってまたお礼を言ったら、また新一が顔を真っ赤に染めて、じゃあ飯に行くかって手を出してくれたから、あたしの手を新一の手に被せた。
何度体験しても、新一がしっかりとあたしの手を握ってくれるこの瞬間があたしは大好きだった。


「あれ?新一くんとなまえじゃない?」
「あ、ホントだ。なまえー!新一ー!」
「げっ」
蘭たちの声が聞こえて振り向いたら、蘭と園子がこっちに向かって走って来てた。
うわぁ。買い物袋いっぱい持ってる。
園子ってホントに買い物好きだよね。


「なぁに?普段はイチャイチャしない新一くんも、デートでは手繋いだりするんだ?」
「ウッセーな。ほっとけ!」
「あれ?新一、そんなネックレスしてたっけ?」
「あっ、これは、だな」
「「あーっ、それってなまえが今付けてるヤツとペアじゃない!!」」


蘭の言葉に新一が慌ててネックレスのトップを隠した時にはもう遅かった。
あたしの胸に光るネックレスを見て蘭と園子の叫び声が揃ったから。


「へぇー。新一くんそういうのに興味ないと思ってたのに、ちゃーんとなまえのこと大事にしてるのねぇ」


園子がニヤニヤし過ぎてて正直怖い。
これ、絶対明日学校行った時には皆に広まってると思うと新一だけじゃなくてあたしまで顔が熱くなってしまった。


「なまえったら真っ赤になっちゃってかっわいー!新一、あたしのなまえに変なことしたら許さないからね!?」


蘭に抱きつかれながらも、新一に離された手がちょっとだけ寂しかったりしてるあたしがいたり。
さっきまでは繋いでくれてたのに、園子の連続攻撃に意識がそっちにいっちゃったらしい。


「ちょっと待て!誰がオメーのだって?なまえは俺の彼女だっつーの!」
「新一みたいなヘタレ推理オタクが彼氏なんてなまえにはもったいないわよ!」
「んだと!?」


あたしを挟んであたしの頭の上で蘭と新一がケンカしてる。
これって学校でも恒例だけど、入れない自分の身長が悲しい…。


「ねぇ、なまえ。そのネックレスどうしたのよ?」
『これ?さっき新一が買ってくれたんだよ。あたしが最近告白されてたの知ってたみたいで虫よけだって』
「へぇ。良かったじゃない!あんた、ずっと新一くんとペアなモノ欲しいって言ってたもんね」
『しーっ。園子、声が大きいよ。新一に聞こえちゃうじゃん!』
「こんだけ大声で蘭とケンカしてんだから聞こえやしないわよ」


あたしを覗き込む為にちょっとしゃがんだ園子と内緒話をしてる間も、蘭と新一のケンカは止まりそうになくて、最後は園子が止めに入ってくれた。



【あたしの宝物】

大好きな貴方との初めてのペアなプレゼント。


「ほら、蘭。らっぶらぶな二人の休日邪魔しちゃダメだって。そろそろあたしたちもご飯に行くわよ」
「邪魔だって分かってんなら最初から来んなよ!」
「あーら、新一くん、そんなこと言っていいの?あのことなまえにバラすわよ?」
「園子、ちょっと待て!」
「じゃーね!」
『ねぇ、あのことって何?』
「そ、れは!……なまえが気にしなくてもいいんだよ!ほら、俺たちも飯に行こうぜ?」
『ねぇ、あのことって』
「だーもうっ!園子の言ったことなんか忘れろっ!」


キスで誤魔化すなんてズルい。
あたしが何も言えなくなるの知ってるくせに…。
でも今日一番の真っ赤な新一の顔見てたら、どうやら相当知られたくないことらしいと思って、それ以上は聞かないことにした。



→あとがき

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