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- ナノ -
俺の名前は工藤新一。
高校生探偵やってる。
地元じゃちょっとした有名人。
いや…。
もしかしたら日本じゃちょっとした有名人?
それくらい毎日毎日ファンレターが届く。

「工藤ー!」
「おう!」

今日はサッカー部の試合に臨時で駆り出された。
工藤くーん、とか、工藤センパーイ、なんて
黄色い声援が響く。
自分で言うのもなんだけど、サッカーやってる俺ってかなりイケてるぜ?

でもどんなに黄色い声援が飛び交っても、た
った1人の声援には負ける。

「新一いっけーー!!」

どんなに離れてても、どんなに周囲が煩くても、はっきり聞こえるんだから不思議だ。

「新一お疲れー!」
「おぅ!見てたか?」
「うん!カッコよかったよ!!」

だよなー。
なんて思いながらも俺の彼女・なまえの差し出したペットボトルを口に含む。
ああ、やっぱりなまえは気が利いて可愛い。
なんてこと、本人には絶対言わないけど。

「じゃあ後半は」

久しぶりで少し体が鈍ってるんじゃねーかって、正直心配だったけど。
この程度のチームなら後半も楽勝だな。

「あ、新一」
「うん?どうしたなまえ」
「ちょっとちょっと」

ベンチ裏の応援席で蘭や園子と観戦していたなまえが手招きしたから、ちらっと周囲を見回し大丈夫そうだったからなまえの方に駆け寄った。

「どうした?」
「新一あと1点でハットトリックでしょ!」
「え?ああ、そうだけど?」
「だからね、」

そこまで言うとなまえは耳を貸せってジェスチャーした。
なんだー?

「どうした?」

体を少しかがめてなまえの方に耳を傾ける。

「あと1点入れて、ハットトリック成功したら、」

耳にかかるなまえの吐息がなんというか、ちょっと…

「ほっぺにちゅうしてあげる!」

こういうヒソヒソ話ってなんか恋人っぽ

「はっ!!!!??」
「がんばってね!新一!」
「え!?いや、おま、今」
「工藤ー!時間だぞー!」
「え!?あ、いや、俺」
「新一頑張って!!」

にこやかに手を振るなまえに後押しされチームメイトの下に行く。

え?
ハットトリックでほっぺにちゅう?
ほっぺにちゅうって?
いや、ほっぺって

「工藤ーー!!」
「あ、」

やべ!

「何やってんだよっ!試合に集中しねーか!」
「お、おう!」

そうだ!
今は試合に集中、集中。

−ほっぺにちゅうしてあげる!−

だあーーーっ!!
ほっぺにちゅうが気になって集中できねーじゃねーかよっ!!!
この間やっと手は繋げるようになったのにちゅうって!!
いや、落ち着け俺。
そもそもハットトリック決めなきゃそれも全て水の泡!!
ここは冷静に

ピピーーーーーーッ

「え?」
「工藤、交代」
「へっ!!?」

監督は悪くない。
わかってる。
わかってるけど、臨時で出てやった俺に花持たせるくらいのことさせろよっ!!

「新一…」
「なまえ…。交代させられちまって2点止まり、だな」
「うん…」

ああ、俺なんでこんなにバカなんだ…。
自分で可能性の芽を摘んでどうする。
だいたい試合中にちゅうとか煩悩があるのが悪い。
交代させられたことよりも、そんな煩悩に勝てない俺が情けない。

「でも新一カッコ良かったよ?」
「…そーかー?」

なんかもう、自分が情けな

「ほっぺにちゅうはまた今度ね。今日は頑張った新一におでこにちゅう!」
「………………」
「じゃ、私蘭たちのところに戻るね!」

ぱたぱたと駆けて行くなまえの足音だけが頭に響いた。

…え?
なに今の?
え!?
今額になんかすげー柔らかい感触が!!?
はっ!!!?

「蘭ー!園子ー!お待たせー!!」
「なまえおいてくよー?」
「ごめんごめん!」
「てゆうかあんた、新一くんに何したの?」
「え?」
「あれ。そのうち茹で上がるわよ、新一くん」
「あははっ!真っ赤になって新一ほんっと可愛いー!」
「なまえ、あんまり新一いじめないであげてね」
「いじめてないよー!楽しんでるけど!」
「「…」」

俺がそこから動き出したのはそれから30分後。

→感想
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