今日も私は、あの方が現れるのではないかと思い焦がれながら窓から月を見ていた
そう・・・まるでジュリエットがロミオを待つかのように・・・
『今日も空振りかしら・・・』
私が諦めて窓から離れベッドに行く寸前、風が吹いている訳でもないのにカーテンが揺れた
「・・・今晩はなまえ嬢」
そう声が聞こえたと同時に、私の部屋にはあの方の姿があった
『今晩はキッド様。今日はお仕事でしたの?』
私はあの方に抱きつきたいのを堪えながら質問した
「いえ・・・今宵はどうしても貴女に逢いたかったので」
『私はいつも待ってました』
「・・・知っていました」
私はあの方のその言葉を聞いて涙を流しながら、逢えなくて淋しかった思いをあの方にぶつけた
『知っていたならどっどうして逢いに来てくださらなかったの?(怒)もう・・・わっ私のことが・・・嫌いだから・・・ですか・・・(泣)』
それを聞いたあの方はまるで別人のように声を張り上げた
「そんなわけねーだろっっ!!」
私は吃驚していつのまにか涙も止まっていた
「いきなり声を張り上げてしまいすみません・・・でも私はなまえ嬢を愛してます。そして私は、貴女を危険には晒したくなかったのです。」
あの方は私を抱きしめながら気持ちを打ち明けてくれた
「私の仕事は危険を伴っています。だから愛する貴女にも本当の姿を見せる事が出来ません。でもいつか・・・私のこの仕事の終わりが来たら貴女には私の本当の姿を知ってもらいたい。」
『私もキッド様を愛しております。だから・・・だから私はキッド様を信じて待っております。そのキッド様がいういつか・・・が訪れるまで。そしてキッド様の本当の姿を知る事が出来る日まで・・・』
私があの方に自分の気持ちを話すと、あの方は抱きしめていた腕を緩めて私の瞳を見たあと、ゆっくりと顔を近づけてきた
私はゆっくりと瞳を閉じた
そして口づけを交わした後、私達は同時に言った
『「これからも愛してます」』
***end***
→あとがきという名の感想
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