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- ナノ -
「なまえ、事件解決したから今すぐ来い」
「…いや、新一今何時だと」
「俺が呼んでんだから何時だろーが関係ねぇだろ。すぐ来い」


花も恥じらう17歳。
人並みに恋をし、人並みに彼氏が出来た。
その彼氏はうちの学校だけじゃなく、世間でも知らない人はいないんじゃない?ってくらいの有名人。
告白は博打。
むしろ負け率の高いものだったけど、この有名人は2つ返事でOKしてくれた。
私の彼氏、高校生探偵・工藤新一は。


「いやでももう寝ないと明日学校が」
「どーせ授業中寝てて聞いてねぇじゃねーか」
「いやでももう寝ないとお肌が」
「この間ロス行った土産にシャネルのクリーム買って来てやっただろ?あれ使えよ」
「いやでももう寝ないと」
「オメー」
「はい?」
「来なかったらどうなるかわかってんだろーな?」
「新一さんのお宅でよろしいんですよね?これから伺います」


頭脳明晰、眉目秀麗、英国紳士もびっくりなジェントルマン。
の、はずだったのにどこをどう間違ったのか、気がついたらただの俺様男とつきあっていた私。
いつからなんて、覚えてない。

「遅い」
「えっ!?走ってきたよ!?」
「バーロォ。いつもは12分で来るところを今日は16分かかってんじゃねぇか」


そんな細かいチェック入れられてるなんてっ!
うちから10分台で走ってくる私の記録を誉めてよ!


「誉めるわけねぇだろ。俺に会いに来るんだからむしろ10分切って来い」
「いやさすがにそれは無理ですよね?」
「根性ねー女だな」


そういう問題?


「で?」
「え?」
「ほら、出せよ」
「な、何を?」
「何をだぁ?メール見なかったのかよ」
「え?メール?ち、ちょっと待って」


パカッと携帯を開くと新着メールの表示が確かにあった。


from:ボス
sub :no title
本文:この間言ってた推理小説も持って来い。忘れたら取りに帰れ。



「…新一さん、これついさっき届いた感じになってますが」
「ついさっき送ったんだから当然だろ」
「…この時刻だと私、工藤家付近を走ってた時刻ではないかと思いますが」
「だからどうした?」
「持って来れるわけが」
「取りに帰れ」
「…いやいくらなんでもそれは」
「20分と言いたいところだけど、俺は優しいから25分にまけてやるよ。25分以内で取りに帰れ」
「はっ!?」
「じゃあ気をつけて行けよ?間違っても勢いで車弾き飛ばすなよ?俺が恥ずかしいから」
「いやいやいやいやいや、何かがおかしくないですか!?」
「ほらさっさと行け」


バタン、と目の前で工藤家の重厚な扉は閉まった。
は?
今来たばっかりなのにたかが推理小説を取りに帰れ?
しかも時間的に走って行けと?
おかしくないか?


ピリリリリ


玄関前に立ち尽くしていたら携帯が鳴った。
開くと新着メールの表示。


from:ボス
sub :no title
本文:25分以内ならご褒美。それ以上ならお仕置き。30分経っても来なかったら破局。


ええっ!?
ご褒美かお仕置きか破局!?
なにこの3択!!!
そ、そんなこと言われたら走るに決まってるじゃないか!
結局俺様彼氏でも、私はこの人がいいんだからっ!!


「22分30秒。新記録。なまえもやれば出来るじゃねーか」


そう言う新一は、そりゃあもうイケメンがきらっきら後光を浴びてるようなスマイルを放った。
この顔が見れたならっ!



「ほら来いよ、なまえ。ご褒美に思う存分甘やかしてやるぜ?」


そう言って何度も何度も優しくちゅうして抱きしめてくれる新一が、結局私は大好きなんだ。
多少俺様でも、中学の頃からずっと好きだった新一がこうやって側にいてくれるなら、それくらい我慢でもなんでもない。
むしろ他人には見せない素の新一を知ってるのは、私だけだ。
こんなに嬉しいことはない。


「…おい」
「うん?」
「これ下巻じゃねーか」
「…えっ!?」
「今すぐ上巻を取りに帰れ」
「ええっ!?」


でももう少し、彼女らしく扱ってほしい乙女心。



→感想
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