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- ナノ -
俺の名前は工藤新一。
高校生探偵やってる。
自分で言うのもなんだけど、ちょっとした有名人。

「あ、あの!工藤、新一さん…ですよね!?」
「え?ああ…そうだけど?」
「あ、握手してください!」

いや、ちょっとどころか有名人。
街を歩けばキャーキャーと騒がれる。
顔よし、頭よし、家柄よしの3拍子。
そんな俺には当然ながら彼女がいるわけで。

「悪ぃ!待たせた!」
「新一おっそい!もう帰ろうかと思った!」

コイツ、俺の彼女のなまえ。
彼氏の俺が言うのも何だが、コイツも結構人気があって、まぁモテる。

そんななまえとつきあいだして今日で3ヶ月。
べ、別に俺はそういうの気にしてるわけじゃねーけど!
なまえがせっかく学校も休みだし、記念にデートしよう!って言うから。
昨日は遅くまで目暮警部の呼び出しで捜査につきあってたから、少し体がだりぃけど。
コイツが行きてぇって言うから、トロピカルランドにつきあってやることにした。
女ってほんっと、イベントとか遊園地とか、好きだよなぁ…。

「どうせ本読んでて寝坊したんでしょ?」「そんなんじゃねぇよ!昨日夜また事件に借り出されてだなぁ」
「え?事件?嘘、じゃあ新一寝てないんじゃない?今日止める?」

なまえは気も利く良いヤツだ。
ほんとはそんなとこ行かずに寝ていたいけど。
せっかくの記念日だし。
トロピカルランドに行くことにした。

「ありがとう!新一!!」

最近はようやくなまえも慣れてきたのか手繋いだり、腕組んだりを普通にしてくるようになった。

となると、次のステップ。
ちょうど記念日だし?
こ、こういうのはムード、ってのが大事なんだよな。
女はそういうのを重視するって母さんがよく言ってたし!

ムード、ムード…。

やっぱりあれか?
あの噴水の中央に連れて行って…

「…ち、…んいち、新一!」
「へ?」
「…ほんとに大丈夫?ボーっとしてるけど…」
「え!?あ、ああ、俺はへーキ、へーキ」
「うーん…でもあんまり顔色良くないし…。あ!あのベンチで休もう!」
「え?いや、俺は」

グイグイとなまえに手を引かれベンチに座らされた。

…いや、俺別に休みたかったわけじゃ…。

「はい!ここどーぞ!」
「…へっ!?」

ぽんぽん、となまえが自分の腿を叩いた。
…え?

「膝枕!してあげる!」
「…えっ!?」
「大丈夫だよっ!ここ木の陰になっててあんまり人通らないし!新一少し休んだ方がいいよ!」
「え!?いや、俺は!」

ひ、膝枕!?
ここでっ!?

「はいはい、遠慮しない、遠慮しない!」
「あ、おい!」

グイっと頭を掴まれ、なまえの腿と激突した。
俺はこんなことをしにわざわざ寝不足の体にムチ打ってトロピカルランドに来たわけじゃねーっ!

…いや、でも、布越しだけど、頬にあたる感
触が、なんとも言えねぇのは確かで。

だーっ!
今日は記念日だろ!
寝てる場合じゃねーじゃねーかよっ!!
仰向けに体の体勢を変える。
なまえがなんか歌ってた。
この体勢からだ、そのクチビルがよく見える。
なんか塗ってんのかな?
ツヤツヤ光ってて、「艶かしい」って表現がピッタリだ。

…。

「なまえ」
「ぎゃっ!?」
「いてっ!!」

ゆっくり体を起こした。
つもりだったけど、思った以上に勢いがあったらしく、なまえの顎に俺の額が激突した…。

「し、しひゃかんだ…」
「わ、悪ぃ…」

ベロをチラっと出しながら、少し涙目で痛が
るなまえ。
俺も何気に額が痛い…。
なんかもー、ムードも何もねぇわ…。

「で?」
「うん?」
「何か言いかけたでしょ、新一。なに?」
「え?あー…、忘れちまった」

俺ってなんも学ばねぇよな…。
今までだって、なまえ関連でこうだって決めたことうまくいった試しねぇし。
だいたい今なまえとつきあえてることが不思議に思えてきた。
コイツがコクって来なかったら俺たち一生つきあえてない気がする…。
なんだって俺はいつもこうなんだ…。

「新一、私喉渇いたからお茶買ってくるね!」
「え?あ、ああ…。俺も行こうか?」
「ううん!新一はここで休んでて!」
「…いや、俺は」
「いっつも事件事件で頑張ってる新一に、これくらいはしてあげなきゃ!ちょっと待っててね!」

ちゅ、って。
俺の左の口角あたりに一瞬の暖かい感触と、随分を軽い音が聞こえた後、なまえが走り去って行った。

……………え?
ちゅ、って?
えっ!!?
ここでっ!?
ムードはどうしたっ!!?
だってこんな公衆便所が見えてるようなベンチでっ!!?
は!?
なんで!??

「(新一、きっと昨日の事件で何かあって落ち込んでるんだ…。なのにトロピカルランドにつきあってくれたんだもん。さっきのアレでいつもの新一になってくれればいいけど…)」

そんななまえの思惑なんて知る由もなく、なまえがペットボトルを買って戻ってくるまで、俺はしばらくフリーズしていた。


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