俺の名前は工藤新一。
高校生探偵やってる。
自分で言うのもなんだけど、これでもちょっとした有名人。
同じ高校生で俺を知らないヤツはいねーんじゃねぇかな?
「新一、ここ教えてほしいんだけど」
「おぅ。…なまえ、オメーほんとこういう問題苦手だよな」
「…煩いな。だから教えてほしいんじゃない」
「教えてやるからにはきちっと理解しろよ?」
「わかってるよ…」
そんなちょっとした有名人の俺にはもちろん彼女がいるわけで。
俺の彼女、なまえ。
可愛いとクラスでも言われている。
成績は、まぁそこそこ。
たまにこうやって放課後の教室や図書室に来て教えてやってる。
なまえは基本はわかってるのに応用が利かないばっかりに、いつも似たようなところで躓く。
でもまぁ俺としては?
こうやって2人でいれるしいーんじゃねぇの?って思う。
「ほんっと、新一がいてくれて助かったよ!」
「おー」
「いつもありがとう!」
推理小説読みたいとか、サッカー部のヤツらとプレイしたいとか。
貴重な時間をどう使うかで頭を悩ませるけど、そうやって笑顔を向けられるなら、なまえに勉強教えるのも悪くない。
「そうだ!今度何かお礼するよっ!」
「え?」
「何がいい?お菓子とかでいいならなんか作ってくるよ!」
「…別になんでもいいけど?」
「そう?どうしよっかなぁ!」
なまえから貰えるならなんでもいい。
なんて本人には絶対言わねぇけど。
「あ!じゃあさきゃあ!?」
「あ、バカッ!」
「…」
「…」
階段を降りようとしていた時に、魅月が少し後ろを歩く俺を振り返ったため、足を踏み外した。
あっぶねぇ…。
なまえってこういうところあるんだよなぁ…。
「大丈夫か?」
「…う、うん」
咄嗟に手を伸ばし、片腕で手すりを、片腕でなまえを支える。
間に合ってほんとに良かった。
「…新一」
「あ?」
「もう離して」
「え?あ、ああ」
「…新一のえっち」
「へっ?」
えっち?
えっちって何が?
俺を振り替える魅月の顔が珍しく赤い。
え、何?
俺別にえっちって言われることなんて…。
そう思い自分の今の体勢を見直した。
ら。
左手は手すりを掴んでる。
これはいい。
でも右手は?
なまえを支えてる右手は、抱きかかえるような形で回されていて。
…。
……。
………。
俺が今右手の平で感じているこの柔らかい感触はナンデスカ?
「わ、悪ぃっ!!」
「ぎゃっ!!」
「あ…」
思わず手を引っ込めたら、なまえが階段から落ちた…。
「だ、大丈夫か?」
「大丈夫じゃないっ!信じられない!新一のバカッ!!」
「わ、悪ぃ…」
「お尻打ったっ!!痛い!」
「悪かったって…」
いやだってオメー、あれは、さ。
あれは、だって…なぁ?
「…ちょっとっ!!」
「えっ!?」
「赤くなってないで起こしてよ!」
「あ、ああ、悪ぃ」
「…いたっ!」
「え?」
なまえは立ち上がった、と思ったら右足首を抑えて蹲った。
「も、もしかして捻ったのか!?」
「わかんない…けど、痛い…」
「…まだ校医いるだろうし、保健室行くぞ」
「新一」
「うん?」
「おんぶ」
「……はっ!?」
「だって立つと痛い」
「いや、だってほら、俺が手貸してやるから」
「…私が蘭に比べて重いからおんぶもしてくれないの?」
「はあ!?なんで蘭が出てくんだよっ!」
「だって新一昔蘭が倒れた時は抱っこして保健室連れてったじゃない」
「いつの話だよソレ」
「中2の時の話」
「オメーそんな昔のこと根に持ってんじゃね
ーよ」
「別に根に持ってるわけじゃないし!蘭は抱っこ出来ても私はおんぶできないんでしょ!」
「…あー!もうわーったよ!オメー動くんじゃねーぞ!?」
「え!?ちょ、新一!」
「動くんじゃねーよ!このまま保健室行くからな!!」
そう言ってなまえを抱き上げて保健室に向かった。
バーロォ、おんぶなんかしたら、さ、さっき触ったアレが背中にあたるじゃねーかっ!!
そんなこと人前でできるかっ!!
「(な、なんでおんぶはダメなのに抱っこはできるのコイツ…。絶対こっちの方が恥ずかしいのにっ!新一がわからないっ!!)」
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