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夢の続きも貴方と


彼女の部屋に訪れてみると、なまえがキモチよさようにベッドで丸まっていた。
静かだと思ったら寝てたのか。
そっと顔にかかっている髪を掬うと、幸せそうな顔をしていた。


『し…いち…』


起こしちまったかと思ったら、寝言らしい。


「俺の夢でも見てんのか?」
『ん…新一…』


可愛いヤツ、とそっと額にキスを落とすと、なまえがとろんとした瞳を開けた。


「起きたか?」
『ん…しんいち、ぎゅー、して?』


呂律が回ってない所をみると、どうやらまだ寝ぼけてるらしい。
可愛いおねだりにそっと抱きしめてやると俺の胸にすりよってきた。


「今日はずいぶん甘えただな?」
『ダメだった?』
「いや。可愛いなぁと思ってさ。お前あんまり甘えてくることねーじゃん?」
『しんいち、事件でたいへんだからこまらせたららめなの…』
「んなこと気にしてたのか?」


普段事件でデートをドタキャンしても笑って許してくれてたから、ちょっと驚いた。
やっぱ寂しい思いさせちまってた、かな?


『推理してる新一もカッコイイかららいじょーぶだよ』


にへらと笑って俺の頬にキスしてきたなまえ。
いつも欲しい言葉をすぐにくれるなまえは、寝ぼけていてもちゃんと俺のことを分かっていてくれてるらしい。
けど、


「あんまり可愛いことばっかしてっとこのまま襲っちまうぞ?」


耳元で囁いて、そのまま軽く甘噛みすると『みゃ!?』と変な声をあげて、急に体を起こしたなまえ。
どうやらやっと目が覚めたらしい。


『し、新一?!な、何で、あた、しの部屋にいるの?』
「おばさんが部屋に上げてくれたんだよ」
『え!?いや、なら起こしてくれたら良かったじゃん!ってかなんであたし新一の腕の中にいるの?』
「ん?寝ぼけたオメーがぎゅーしてって言ったから?」


目を丸くしていたなまえは事態を把握した途端、一気に顔を赤く染めた。
その顔を隠そうとしたのか、俺の胸に顔を埋めてきた。
イチイチ可愛いヤツ…


「んな照れんなよ」
『無理!』


どうやらしばらく顔を上げる気はないらしい。
なら、こっちから上げさせてみるか。


「そういえばさっきどんな夢見てたんだ?」
『え?』
「幸せそうな顔して俺の名前呼んでたから」
『寝言言ってたの!?あたし他に何も言ってない?!』


急にガバっと顔を上げてきたなまえはどこか必死に聞いてきた。


「残念ながら聞いてねぇな」
『良かったぁ…』


そんな顔されっと余計に気になんだけど。


「で?どんな夢見てたんだよ?」
『え?いや、あの…あははは。そ、それより新一は何しに来たの?』


にゃろう。
逃げやがったな。


「今日ホワイトデーだろ?」
『え?知ってたの?』
「何でそっちで驚くんだよ?」
『いや、新一興味ないかと思ってたから』
「俺だってそのくらい知ってるっつーの。で、これ。お返し」


小さくラッピングされた箱を見せると両手でそれを受け取って嬉しそうにしげしげと眺めて


『開けていい?』


と聞いてきた。


「どんなもんやったら喜ぶかわかんなかったからさ」
『ん?』
「とりあえず開けてみろよ?」
『うん!』


丁寧にラッピングを外して、箱を開けると心底驚いたような顔をしてた。


『これ…』
「この前のデートでオメーが欲しそうに見てたヤツ」
『ありがとう!ねぇ、つけて?』


指輪の箱を俺に渡して、右手を差し出してきたなまえの手をとらずに、代わりに左手を取ってその薬指に指輪をつけてやった。


「ちゃんとしたヤツ買うまでこれでこの指予約な」
『…』
「なまえ?」
『さっきの夢ね、』
「ん?」
『真っ白なドレスきて、新一と一緒にいる夢だったの』
「それって…」
『うん。この予約が叶った日の夢見てたの』


嬉しそうに幸せそうに笑ったなまえと視線が絡めば、どちらともなく顔を近付けて、そのまま甘くとろけるようなキスをした。





【夢の続きも貴方と】

『ねぇ、ちゃんと正夢になると思う?』
「当たり前だろ?ってか俺が正夢にしてやるって」
『楽しみに待ってるね』

薬指に光る指輪を見ながら、いつかウェディングドレスを着て貴方の元に行ける日を今度は現実で夢魅ていようとそっと誓った。





→あとがき

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