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 09

中森警部のバカっ!
せっかくあたしがお膳立てしてあげたのに全部パーじゃんかっ!
あーイライラするっ !!
あんなんだから、怪盗さん捕まえられないんだよ!
ツメが甘いんだからっ!!


「おい、なまえ。オメー今まで何処に行ってたんだよ?」
『博士んとこだよ』
「オメーが博士んとこ行ったのは11時過ぎだろ?それまで何処に行ってたかって聞いてんだよ!」
『買い物!この荷物見て分かんないの!?』
「それにしては時間かかってねぇか?」
『小説読んでてあたしがいつ家出たかも分かんないお兄ちゃんに言われたくないね』
「…」


お兄ちゃんに八つ当たりしたって仕方ないのは分かってる。
中森警部が当てにならないって分かったから、博士にちょっとしたメカをお願いした。
もちろんお兄ちゃんには絶対言うなって口止めしたけど、博士の性格ならポロッと言っちゃいそうな気もする。


「オメー、最近俺に何か隠してんだろ?」
『それはお兄ちゃんだって一緒でしょ?あたしの質問に答えてくれないんだから!』
「それは、だな…」


珍しく言い澱んだお兄ちゃんをムシして、買い物したモノを冷蔵庫に片付けて行く。
これは怪盗さんに会う前に買って博士の家に置かしてもらっていたモノだ。
あたしのイライラはまだ収まらない。
お兄ちゃんにこれ以上当たる前にムシをすることにした。


「なぁ、なまえ」
『何?』
「無茶だけはすんなよ?」
『…』
「オメーに何かあったら母さんたちに文句言われんのは俺なんだから」


素直に心配してるって言えないのがお兄ちゃんらしいと思う。
でも、これだけはお兄ちゃんの力を借りるわけには行かないんだ。


『努力はするよ』
「そっか。早く寝ろよ?」
『うん。心配してくれてありがとう』


顔を少し赤く染めて、部屋へと帰って行ったお兄ちゃん。
ホントにシャイなんだから。
そんなんだから、蘭にいつまで経っても告白出来ないんだよ。

後片付けと冷凍する為の下準備をした後、あたしはお父さんの書斎へと向かった。
新しいラブレターを解読する為に。
でも、やっぱり直ぐには解けないようになっている。
前回は見ただけで解読出来たのに。


『今回は誕生石がキーポイント。これはイギリス、かな?』


イギリス…
お兄ちゃんみたいに知識豊富だったら、直ぐに閃くんだろうけど、あたしはこれからが勝負だ。
結局朝日が空を染めるまで、お父さんの書斎からあたしが出ることはなかった。

怪盗さん、簡単過ぎるラブレターは確かにショックを受けるけど、変に凝られるとあたしの知識量じゃ解読に時間かかっちゃうんだって。


『ふぁーあ』


伸びをすると時計が目に入った。
ヤバイ。もう朝ごはん作る時間だ。
続きは帰ってからだな。
解き方はだいぶ分かってきたし。


「はよー。なまえ」
『お兄ちゃん、おはよー。朝ごはん出来てるよ』
「なまえ、オメー昨日寝てねぇだろ?」


お兄ちゃんがまっすぐあたしの元へ来て、頬を撫でた。
いくら兄妹って言っても、スキンシップは程々にしてもらいたい。


「目の下にクマが出来てんぞ」
『ちょっとお兄ちゃんに分かんないような暗号考えててね』
「俺に解けねぇ暗号なんかねぇんだから、くだらねぇことしてねぇで、ちゃんと寝ろよ」


ポコンと軽く頭を叩かれた。
どうやらお兄ちゃんの機嫌は直ったみたいだ。
二人で朝食を食べて学校へ向かう。
次に怪盗さんと逢うのは来週。
ラブレターは何とか間に合いそうだ。
この解けるか解けないかの緊張感が何とも言えない。
あたしもお兄ちゃんに負けず劣らず推理バカらしい。


「なまえ!新一!おっはよー!」
『蘭、おはよー』
「何か顔色悪いけど、大丈夫?」
『寝不足なだけだから大丈夫だよ』


でも、二人が仲直りしたみたいで良かったーって言う、蘭の柔らかい声が心地よくて眠たくなって来た。
ヤバイな。たぶん授業中寝ちゃうわ。
お兄ちゃんもよく寝てるし、大丈夫だろうけどさ。


「なまえっ!あんた連絡してって言ったでしょ!?」
『あ、ごめん。忘れてた』
「こんのーっ!」
『痛い痛いイタイっ!』


教室に着くと怒り心頭な園子様がいて、グリグリとコメカミを攻撃された。
マジでイタイから勘弁してっ!


『お兄ちゃん誤魔化すのが大変でそれどころじゃなかったんだって!』
「何よ?もうバレちゃったの?」
『そんなヘマしませんよーだ』
「で?少しは進展したわけ?」
『何か手のひらで遊ばれてる感じでイライラしてるとこ』
「へぇー。なまえを振り回すなんてなかなかやるじゃない!」


園子、キミはどっちの味方なんだよ?
あたしの味方じゃないわけ?
とも思ったけど、園子は話が面白くなる方につくのを知ってるので、何も言わなかった。

それにしても次の怪盗さんへの質問どうしよっか?
あたし聞きたいことは聞いちゃったんだけど…。
まぁ、まだ時間あるし、まずは暗号解読からだな。


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