05.不穏な波紋
いつも元気な明日香が、今日は何だか様子がおかしい。
『ねぇ、明日香大丈夫?保健室行く?』
「らい、じょーぶ…ちょっとクラクラするだけらよ」
呂律も回ってないし、視点も定まってない。
明らかに体調不良だな。
今日は目を離さないようにしないと…。
とか思ってたら、案の定授業中にふらつきだした。
ヤバいなぁ。先生に言って一旦授業から抜けるか?
ふと、隣を見ると明日香が大きくぐらついて…って危ない!!
ドガタンッ!!
『…っ』
咄嗟に倒れた明日香を庇ったら思いきりアチコチをぶつけてしまった。痛ったぁ…
って、そんな場合じゃなくて!
『先生!河野さんが倒れちゃったので、保健室連れて行きます!』
「お、おう。みょうじ、頼んだぞ。近くのヤツ、倒れた机とか直しといてやれ」
先生の声を後ろに聞きながら、明日香をオブって保健室まで歩く。
同い年の女のコを運ぶのって、結構しんどい。
ちくしょー。元の体なら多少背が伸びてるから運び易かったかもしれないのに!とか言ってても仕方ないから、明日香に負担をかけないようにゆっくりと保健室へ向かう。
背中に感じる明日香の体温が明らかに高い。
それに息づかいも荒いし、これってちょっとヤバくない!?
『先生!河野さんが授業中に倒れちゃったんですけど、すごい熱があるみたいで…朝から調子が悪そうだったし、たぶん無理してたんだと思います』
「とりあえずベッドに寝かして熱測ってもらえる?」
『はい』
明日香をベッドに寝かせて、首元を開けて楽にしてから体温計を挟む。
大丈夫だといいんだけど…そんなわけないよね。
今も苦しそうだし。
せめてって感じでハンカチで汗を拭う。
何も出来なくてごめん。
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