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02.闇の男爵の罠


やっとこの街での生活にも慣れてきたある日の学校帰り。

あたしはちょっと大きめな本屋さんを紹介してもらってそこに来ていた。

さっきから期待にドキドキして心臓が煩いくらいに興奮してる。

そう、今日はあの本を探しに来たのだ。

本好きなコナンファンなら、きっと誰しもが読みたいに違いないあの本を!


『えーっと…工藤、くどう…あった!』


なんとそこは軽く工藤優作コーナーみたいになっちゃってるんですが、そんなに本出してたんですか、先生…。
まぁ、世界屈指の小説家のコーナーがあるのは何ら不思議でもないんだけど。

あたしのお目当ての本は探すまでもなく、シリーズで平積みにされていた。


『闇の男爵、みーっけ』


そう、コナンの世界で度々出てくる闇の男爵。

妻の有希子さんまでもが「闇の男爵夫人」と呼ばれる程に世界的に有名で(今はまだ違うのかな?)、工藤優作さんの代名詞にでもなっちゃってんじゃないかっていう一品!


ずーっと読んでみたくて、いっそ闇の男爵で小説出ないかなぁ?とか、映画化されたら絶対観に行く!
でも、どうせするからには演技派俳優できっちり決めて欲しいっ!

とか、コナンが春なら闇の男爵の映画は冬だよね!?

なんて、向こうでもあたしの頭の妄想スイッチを押しちゃうくらい気になっていた存在なのだ。


何の因果か陰謀か、こっちの世界に来ちゃったからには読まないわけにはいかないでしょ!
寧ろ読まないと、絶対後悔する!


『それにしてもこのシリーズの量って…』


大人買いするつもりで、お金下ろして来たけど、それをすると間違いなく家に帰るまでに力尽きてしまう…。

いくら本好きだから、本の重さは気にならないぜ!
とは言っても、限界があるのだ。残念なことに。
(ホント、残念なことに!)


『とりあえず3冊でいいかな?ハードカバーって意外と場所取るし重たいし…』


悔しいけれど、今回はそれで妥協することにした。
読み終わったら続きを買いに来ればいいだけの話だ。

読みたい小説を買うために、本屋通いなんて苦でもなんでもない。
寧ろ待ちきれない!
(まだ読んでもいないけど、絶対面白いに決まってるんだから!)

というわけで、3冊をご購入して、あたしはルンルン気分で家路に着こうと本屋さんを後にした。



(だって、早く帰ってこれを読みたいんだもん!)


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