待ち合わせの校門の前に立っていたんだけど、部活をする人しか登校していないんだから私服姿のあたしはやたらと目立ってしまっていた。
しまった。待ち合わせ場所を間違えたな、と今更ながらに思ったけど、どうしようもない。
「なまえー!ごめーん、待った?」
『ううん。全然。蘭こそ部活お疲れ様。あたしはこんな暑い中スポーツとか絶対無理だわ』
「えー。そんなこと言って、なまえはさらっとやっちゃうタイプだよ」
『何よ、それ。それより、これからどうするの?』
「うん、それなんだけどさ、家に来ない?」
『蘭の家?いいよ。それじゃあ行こっか』
まだグラウンドから聞こえる元気な声を聞きながら、あたしと蘭は歩き出した。
『でもさ、朝のメールにはビックリしたよ。“これ見たらすぐに返信して!”なんて何かあったのかと思ったじゃん』
「ごめんごめん。新一にまだ寝てるって聞いたから、電話して起こしちゃ悪いと思ったんだもん」
『工藤くんと一緒だったんだ?』
「あ、たまたまよ?たまたま。学校に向かってたら偶然あいつが道端にいたっていうだけで」
『何かヒドイ言われようだね』
「あいつのことなんてどうでもいいんだってば!それより、新一のお父さんやお母さんと約束とかあったんじゃないの?」
『ううん?朝起きてそのまま家に帰ってたから平気だよ?』
「それなら良かったー。なまえ、新一のご両親と仲がいいから邪魔しちゃ悪いなぁって思ってたんだ」
『そんなの気にしなくてもいいのに。それに約束があったらちゃんとごめんねって言うし』
蘭の家へと向かいながら、あたしたちは会えなかった間の色んな話をしては笑いあった。
普通に話して、普通に笑えてることにあたしは密かに安堵してた。
あまりにも働いてくれない頭に、もしかしたら上手く笑えないんじゃないかと心配してたんだけど、どうやら杞憂に終わったらしい。
話が一段落する頃には蘭のお家に着いていた。
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