×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



(番外編)平次side


なまえが大阪来る言うて和葉がここ3日間ずっと煩かった。
ホンマに鬱陶しいやっちゃ。
お前もなまえ見習って少しは大人しゅうしとけっちゅーねん。

…って言うても、あん時会った以来やから、俺もなまえがどんなヤツかあんまり知らんかったりするんやけどな。
メールも電話もぎょーさんしたけど、大概俺からやったし、俺の話ばっかしとったからなぁ。


『和葉ちゃん、服部くん久しぶり!』


そう言うて嬉しそうに笑うたなまえは何や初めて会うた時と別人みたいやった。
こんな可愛いヤツやったか?

女はちょっと見ん間に変わるっちゅーけど、ホンマやってんな。

服装もなんや上品になってるし、思うて聞いてみたらよう話に出てくる作家先生の夫婦が選んでくれた服なんやとか…。
ってかなまえの話によう出てくるけど、そいつ誰やねん!


昼にお好み焼き食うて、通天閣に案内したったら、なまえはどこ行くか全然考えとらんかったらしい。
まぁ、なまえらしいっちゃらしいねんけど、わざわざ大阪まで来るんやから、ガイドブックか何か見て「ここ行きたい!」とか言われるんや思うてたんやけどな。


『うち観光に来たっていうより、二人に会うん楽しみにして来たんやもん』


なんてふんわり笑われたら、ちょっと間動けんようになってしもた。
なんやねん、俺。どないしたっちゅーねん!

和葉がえらいなまえにくっついてるん見て、何か知らんけどイラついてきた。
二人でプリクラ撮る言うてんのが聞こえたから、気がついたら、俺とも撮ろうやって誘ってしもた。

断られるか嫌がれるかとも思うてたけど、


『うち初めからそのつもりやったけど?』


ってきょとんと首を傾げて不思議そうにこっち見てきたなまえに顔に熱が集まるんが分かった。
照れくそうなって帽子を深う被って誤魔化してんけど、俺がなまえを意識してんのは自分でも自覚出来た。

これが恋ってヤツやろか?

せやから、なまえにべったりな和葉にも嫉妬しとるんか?
女同士なんやから、俺より仲良うなるんは当たり前やんけ。はっ、アホらし。

なまえがグリコの看板が見たいっちゅーから道頓堀まで来てんけど、実物見た途端、なまえが目キラキラさせてはしゃいで喜こんどった。
何やガキみたいやなとか思うたら笑けてきた。


『めっちゃ楽しい!大阪最高!!』


今まで見たことないような無邪気な笑顔を向けられて、ドクンと大きく胸が脈打つんを感じた。
やっぱり俺、こいつのこと…

そう思うてたら、急になまえが焦り出して、しゃべり方が変わってしもた。

何や?
こいついっつも関西弁で喋っとったから、普段もそうやと思っとったのに、俺らん時だけ違うんか?
もしかして俺の初恋相手ってなまえなんとちゃうか?
そう思うてこっち住んでたことなかったか聞いた後で、こいつが昔のことを何も覚えてないんを思い出した。

どないしようって不安そうな顔してるなまえ見とったら、俺がこないな顔させてしもたんやと思うただけで、誰かに心臓掴まれとるんちゃうかってくらいに胸が締め付けられてギシギシと傷み出した。

さっきみたいに楽しませよう思うて、大阪呼んだちゅーのに、あかんやんけ!
俺、何やってんねん!!


プリクラ撮る頃にはいつもみたいになまえは笑うてたけど、逆にこいつ普段も無理して笑ってるんちゃうかとか思い出して……。
あかん、深読みし過ぎなんは分かっとんねんけど、考え出したら止まらんようになってしもた。


『ほらほら、服部君も笑ってーな!』


まぁ、今はこいつも楽しそうにしとるからええか。
気持ちに余裕が出来たら、そのままふざけていろいろ撮れてんけど、ちょっと悪戯心起こして、なまえに俺の帽子を被らせたった。


『え?急にどないしたん?』
「気にせんでええって。ほら、最後の一枚やで?カメラの方見ぃな」


落書きも調子に乗って遊んでたんやけど、出来上がったん改めてみたら、何やこっぱずかしゅうなって、帰る日に渡したるから言うてその日はプリクラを没収した。



「おー。もう着いたんか?思ってたより早いねんな」
『そんなことより、あれ何なん!?』
「あれってどれのことや?」
『プリクラのことに決まってるやん!予約中とか!』
「あー、あれか?オモロイやろ?」
『ネタとしてはオモロイけど、服部君が落書きしたヤツ、知らん人が見たらうちらバカップルみたいに見えんで?』
「なっ。何言うてんねん!」
『え?それ狙うてたんとちゃうの?』
「ちゃうわボケっ!」


あれは最後の一枚の予約中だけ目立んようにするにはどないしたらええか悩んだ結果やっちゅーねん!!





まぁ、そっちの奴らなんぞになまえ渡す気なんかさらさらないさかい、覚悟しときや?



- 152/327 -
prev next

戻る
[ +Bookmark ]