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レストランに着いた途端に、みょうじが外の景色を見てはしゃぎだした。
みょうじってんな無邪気な顔して笑うんだな。
とか思ってたら、また父さんと母さんが俺をネタにいじりだした。
ったく、今日はずっとオモチャにされんのかよ?


『もう…有希子さんリップサービスで言ってくれてるだけなんだから、そんなに不貞腐れなくても』


どこまでも俺で遊ぶ気でいる両親にうんざりしながら話していたら、みょうじが苦笑混じりに話しかけてきた。

いや、あれは色んな意味でマジだって。


『違うよ?二人とも工藤くんのこと自慢の息子だと思ってるもの。二人に愛されてる工藤くん羨ましいけどな』


どこか寂しそうに言うみょうじに違和感を感じて名前を呼んだんだけど、


「あ。ごめん、何でもない!お料理楽しみだね」


みょうじはしまったって顔をして、いつもの笑顔を浮かべて話をすり替えた。
何だよ。一体どうしたって言うんだ?


「なまえ君。余計な気遣いは要らないよ?」
『あ、やっぱりバレちゃいました?何考えてるのか』
「もちろん」
「何の話だよ?」
『先生との内緒話?』
「お前には関係ない話さ」


んだよ、それ。
父さんにはみょうじの考えてることが分かって、俺は分かんねぇから関係ねぇってか?
仕方ねーだろ。俺とみょうじがまともに話したのってこの間の一回きりで…

そうか。
俺、みょうじのこと何にも知らねぇんだ。
だったら分かるはずもないし、ずっと連絡取り合ってた父さんとの方が仲が良いのは当たり前なんだ。

んだよ。俺一人焦って馬鹿みてぇじゃねーか。
これから知って行けばいいんだよな。

そしたら、俺にも父さんに笑いかけてるみたいに、あんな風に笑ってくれるか?

なんてみょうじを見たけど、答えなんか返ってくるわけもなくて、ただ視線が会うと笑顔を返してくれた。
それだって前よりは近くなってるよな?なんて一人で自己完結してた。


次はどんな格好してても、お前だって見つけてやっから、俺にも父さんに笑ってる時みたいに安心したような嬉しそうなあんな笑顔見せてくれよな?


何でか分かんねぇけど、みょうじのことでだけは父さんに負けたくねぇんだよ。



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